英ガーディアン紙が「ストーリーテリングの気迫と演出の巧みな技」と賞賛。伊のベテラン監督、待望の新作

 ヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞受賞、ベルリン国際映画祭 審査員特別賞を受賞、カンヌ国際映画祭監督賞など数々の栄誉に輝くベテラン、ナンニ・モレッティ監督によるが久々の長編劇映画『3つの鍵』が9月16日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開される。第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式上映作品。

 原作はエルサレム生まれの小説家エシュコル・ネヴォによる『Three Floors Up』。小説は、危機を危機のままで終わらせているとのことだが、映画は舞台をイスラエルからイタリアへ移し、明るさと暖かさを増しながらエンディングへとたどりつく。同じ建物に暮らす3つの家族の日常が絡み合って、物語を時には複雑に、深刻にしながら、なんともコクのある2時間をつくりあげている。

 子供が驚くほど鋭い、本質をつくような発言や行動をしたり、もう永年、子育てを経験しているはずの親がとまどったり悩んだり。自分が登場人物の誰に感情移入するか(親近感を覚えるか)で、作品への印象も、より多彩なものとなるだろう。複数の子役が演じる“フランチェスカ”や“ベアトリーチェ”の成長ぶり、メタファーとしての“カラス”にも、ぜひ注目してほしいところだ。

 出演は“イタリアのメリル・ストリープ”ことマルゲリータ・ブイ、リッカルド・スカマルチョ、アルバ・ロルヴァケル等。共同脚本にはフェデリカ・ポントレーモリ(監督に小説を読むよう勧めた人物)、ヴァリア・サンテッラの名もある。音楽は、かつてニーノ・ロータのアシスタントを務めたフランコ・ピエルサンティが担当。ジャズ・クラリネットの大御所、ガブリエレ・ミラバッシの名がクレジットされているのも話題となろう。

映画『3つの鍵』

9月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、UPLINK吉祥寺ほか全国ロードショー

監督・脚本:ナンニ・モレッティ
原作:エシュコル・ネヴォ
出演:マルゲリータ・ブイ、リッカルド・スカマルチョ、アルバ・ロルヴァケル、ナンニ・モレッティ
後援:イタリア大使館/特別協力:イタリア文化会館/配給:チャイルド・フィルム
2021年/119分/イタリア・フランス映画/原題:Tre piani/ 字幕:関口英子/
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