ロカルノ映画祭オフィシャル・セレクション作品。“中国第8世代”に数えられるチウ・ション監督の長篇デビュー作『郊外の鳥たち』

 英国Sight&Sound誌が「過去と未来、現実と夢が、同じ地平線を歩いている」と評した作品が、2018年のロカルノ映画祭上映から5年、中国本土での正式公開から2年を経て、ついに日本でも公開されるようになった。

 ビー・ガンなどと同じく“中国第8世代”に数えられるチウ・ション監督の長篇デビュー作(脚本も手掛ける)。主人公の青年ハオは、もはやゴーストタウンとなった中国の地方都市を地質調査(測量)のために訪れる。そして廃校になった小学校の中から、自分と同じ名前の子ども“ハオ”の日記を見つける。日記に取り上げられていた時代、その都市は開発の途上にあり、活気にあふれていた。

 この「古い日記」が、時空をとびこえて、見る者をスリリングな世界へと運ぶ。「まったく違う世界」のように見えても、実はほんの些細な物事が過去と現在を結びつけていたり、そこからさらに話が発展したり。確かにひとつの映画なのだが、エンディングに至るころには、数本の映画を観終えたような、なんというか「多様な感慨を摂取した」充足感に見舞われた。「これはこういう物語なのだろう」、「次はこうなっていくのかもな」など考えて見るのも悪くはないけれど、とにかく画面を見て、役者の声使いや表情を感じるべき一作であろう(子役はほぼ演技経験がなかったとか)。

映画『郊外の鳥たち』

3月18日(土)からシアター・イメージフォーラム他にて、全国順次公開

チウ・ション 仇晟 作品
音楽:シアオ・ホー 小河 撮影:シュー・ランジュン 徐燃俊 編集:ジン・ディー 金鏑 / リアオ・チンスン 廖慶松 美術監督:ユー・ズーヤン 於子洋 音響デザイナー:トゥー・ドゥーチー 杜篤之 音響編集:ウー・シューヤオ 呉書瑶
[2018年中国映画 | 114分 | 中国語 |1:1.33 | 5.1ch | DCP・Blu-ray ]
字幕翻訳:奥原智子 宣伝デザイン:内田美由紀(NORA DESIGN) 予告編監督:株式会社ロックハーツ 配給:リアリーライクフィルムズ + ムービー・アクト・プロジェクト 提供:リアリーライクフィルムズ
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