季節は冬。りんごのセールスマンがひょんなことから森で毛皮を狩ることになり、恋をきっかけに最強のハンターと化していく様子が描かれる。と書いても何が何やらという感じだと思うが、モノクロの画面の中に細かいギャグがこれでもかと詰め込まれているうえ、適度に皮肉が利いていて、何度もクスッとさせられた。ガハハやワハハのような大声で腹を抱えて笑うのではなくて、つい笑いが鼻の奥から漏れてくるような感じ。着ぐるみのうさんくささも実にいい。もちろんビーバーも佃煮にできるほど登場する。

言葉がほぼ出てこないので「言語の壁があるがゆえに笑えない」ところはない。動き、音、画面描写で徹底的に楽しませる。脚本/監督/編集/VFXはマイク・チェスリック。主人公を演じるライランド・ブリクソン・コール・テューズは脚本やプロデュースも担当しており、つまり本当に自主的に、ノリノリに、この映画に取り組んだのだろう。100分もの尺を、ショートギャグ的な要素を満載しながら、飽きさせずに綴るのは並大抵の技量ではできないはずだ。
あと、日本のお笑い界隈でいうところの「天丼」の手法が用いられてもいて、コメディに国境なしだなとも感じた。ちなみにこの主人公、何かがうまくいったときに、とある口癖というか、ある音声を発するクセがある。が、これが実は不幸を呼び寄せる始まりで……まあ、とにかく見て、感じて、クスリとしたいものである。
映画『FEVER ビーバー!』
4月17日から新宿ピカデリー、シネクイント ほか公開
監督・脚本・製作:マイク・チェスリック
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム、ローソン・ユナイデッドシネマ
2022 SABLJAK RAVENWOOD HOGERTON