映画『廃用身』、「映像化、絶対不可能」と話題を呼んだ衝撃のサスペンスが映画化

 「どうやって映画化するのだろう」「まさか映画にはならないだろう」的な作品が映画になってしまった。原作小説を書いた久坂部羊(現役医師)も大いに驚いたという。「廃用身」とは、麻痺などによって回復の見込みがなくなった手足を示す造語。それを、いつまでも、体の一部にしておくのはどうしたものか。というわけで、「異人坂クリニック」の漆原院長は実に能率的な医療行為を始めた。簡単に言えば、その場所を除去してしまえばいいではないか、ということだ。もちろんそれには当事者まわりの承諾が必要だが、幸いにというべきか、「身体も心も軽くなった」、「性格が柔らかくなった」など、患者やその家族からも好評だ。

 院長は老齢期医療の世界における時の人となり、書籍編集者は著書の出版を持ちかけた。が、光が強ければ影もまた強くなるのが世の中というもので、若手気鋭である漆原の活躍を面白く思わない動きもあった。そして「身体も心も軽くなったこと」に関する、なんとも苦みを感じさせる問題も噴き出てきた。「廃用身がまだ体についていた頃、さんざん周りの者に嫌な思いをさせられたが、廃用身があるがゆえに身軽に動くことができず、恨みを晴らせなかった」人が、「廃用身を除去されて身軽になったことにより、積年の恨みを晴らすに足るフットワークを得た」ら、果たしてどうなるか。「こうなるしかなかったのかな」というラストも含めて、誰も悪くないし誰も正しいとはいえない世界を、映画を通じてここまで見せられるとは、という驚きは、この原稿を書いている今もある。

 監督・脚本は𠮷田光希、主演は染谷将太、ほか北村有起哉、六平直政、瀧内公美らが出演している。

映画『廃用身』

5月15日より全国ロードショー。

原作:久坂部羊『廃用身』(幻冬舎文庫)
監督・脚本:𠮷田光希
配給:アークエンタテインメント
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公式サイト
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