映画『名無し』、その右手はいったい何を……。中年男の心の闇に迫るサイコ・サスペンス

 ベテラン俳優の佐藤二朗が主演はもちろん、原作・脚本も担当。是が非でも取り組みたかったプロジェクトなのだろう。監督と共同脚本は城定秀夫が手がけている。佐藤が扮する中年男は、一言では言えないような複雑な生い立ち(だがそれは彼の意志ではない)を持つ。山田太郎という名前も、社会生活をするうえで便宜上付けられたにすぎない。毎日が真っ暗な少年期、だが彼には特殊な能力があった。右手が彼の意志ひとつで、ナイフのようになったり、銃のようになったりするのだ。大人になった彼は、まるで息をするように人をあやめる。その行為は時に防犯カメラに捉えられることもあったが、見た感じ、ただの「右手」なので、状況証拠がない。

 何ともミステリアスな、だが血はドバドバ噴き出て、被害者のうめき声や悲鳴はガンガン上がる作品。心臓の弱い方にはある程度の覚悟が必要かもしれないが、物語の描き方自体は実に丁寧だと感じさせられた。そもそも、この脚本は、映画用に制作されたものの、お蔵入り寸前だったらしい。それがコミカライズされ、こうして作品になった。共演は丸山隆平、MEGUMI、佐々木蔵之介ほか。“花子”とのシーンで、ふと太郎が見せる人間味が作品のオアシスとなる。

映画『名無し』

5月22日(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

原作・脚本:佐藤二朗
監督・共同脚本:城定秀夫
出演:佐藤二朗 / 丸山隆平 MEGUMI / 佐々木蔵之介
配給:キノフィルムズ
2026年|日本|カラー|原作:佐藤二朗「名無し」(HERO’S Web)|
(C)佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ
(C)2026 映画「名無し」製作委員会

公式サイト
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