『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』(21年)、『お終活 再春!人生ラプソディ』(24年)に続くシリーズ第3弾。第1弾公開から5年のあいだに、今までしたことのなかったような大病をして、エンディングを考えながら毎日を過ごすようになったひともいらっしゃるのではないかと思う。私はそうだ。だからひとごとではない。映画で描かれているのは明日の自分かもしれぬ、ただしそれがそうなるには毎日を生きていくという積み重ねが求められる。そういう意味では、この作品で描かれているシニアたちは、生きることにはひとまず勝ってきたひとたちである。

中心となるのは、大原真一(橋爪功)と千賀子(高畑淳子)の一家と、真一の後輩である加藤博(小日向文世)と母・豊子(三田佳子)の親子。大原一家は長女の亜矢(剛力彩芽)が婚約者の涼太(水野勝)との結婚へ動き出す。いよいよという感じで、とてもめでたいムードで物事が進んでいくのだが、式の直前に発した亜矢の一言が波風を立てる。さあ、どうなるかというのが主要テーマだ。
そしてもう一つの主要テーマは、母の認知症の進行を受け入れることができない息子の思い。「おふくろが、どんどん俺の知るおふくろでなくなっていく」という、「子供」ならおそらく相当の確率で体験するであろうショックにどう対処していくかという問題だ。ここで真一と博が先輩・後輩として長く築いてきた交流、疑似ブラザーフッドが生きてくる。このあたりの展開は実に鮮やかだし、途中、雑誌記事でいうところのコラムみたいな感じで「豆知識」的な挿入がなされるのもタメになった。主題歌ほか、さだまさしの楽曲や旋律が数多く登場するのもポイントだ。
映画『お終活3 幸春!人生メモリーズ』
5月29日(金)新宿ピカデリー、イオンシネマ 他全国ロードショー
出演:高畑淳子・剛力彩芽 松下由樹 水野勝・西村まさ彦
藤吉久美子 LiLiCo / 三田佳子 / 勝俣州和 彦摩呂 袴田吉彦
藤原紀香・石橋蓮司 小日向文世・橋爪功
作・監督:香月秀之
主題歌:さだまさし「神さまの言うとおり」(ビクターエンタテインメント)
企画・製作プロダクション:フレッシュハーツ
配給:イオンエンターテイメント
2026/日本/115分/5.1ch/カラー/ビスタサイズ/デジタル
(C) 2026「お終活3」製作委員会