時代は2001年、舞台は韓国で最も保守的な街といわれた大邱(テグ)。当時、日本のカルチャーはまだタブーだったそうだが、高校生のギョンファンはアイマック(だと思う)を駆使して海賊サイトから情報を入手している。とくに魅了されていたのがglobeの音作りだ。「韓国人としての誇りを持て」「なんで日本のものなんか」「このオタクめ」のようなことを言われようと、好きなのだからしようがない。が、灯台もと暗しというべきか、となりの席の学級委員ジェミンも実は日本のカルチャーが好きだとわかった。当然ながらふたりの距離は大いに近づき、イヤフォンを片方ずつつけてJ-POPを楽しむようになる。そこには「大っぴらに推奨されていないものをひそかに愛でる」という行為への酔いもあったかもしれない。マッチョな奴は力や行動でワルぶることができるけれど、そうではない者にも「逸脱」はできるのである。

保守的ということは、「男は強くあるべき」「男は女を愛するべき」「結婚して家庭を持ってこそ」といった概念を意味する。だがギョンファンはそこに収まる人物ではなかった。成績は優秀だったが、おそらく、だからこそ柔軟な考えができた。性別に関係なく人を好きになることにも躊躇がなかった。が、まわりから白い目で見られるだけにとどまらず、ツバもひっかけられるような保守的な価値観を持つ土地で、そうしたマインドを高校生が貫くことはあまりにもハードルが高い。「惚れる」ということは、「惚れられている」人もいるわけで、そちらの側が必ずしも同性愛者であるとも限らない。いわば解決すべきマターが山積みなのだが、それがどうなっていくか、エンディングにかけての疾走感にも目を見張った。
ギョンファンを演じるのはシム・ヒョンソ、ジェミンを演じるのはヒョン・ウソク。監督のオム・ハヌルはこれが長編デビュー作となる。
映画『君と僕の5分』
6月5日(金) 新宿武蔵野館、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次公開
出演:シム・ヒョンソ ヒョン・ウソク コン・ミンジョン イ・ドンフィ
監督・脚本:オム・ハヌル
製作:アン・ビョンレ 製作:イ・エデン 撮影:キム・ヒムチャン 編集:ウ・ヒジョン 照明:ホ・ギヨン 音楽:イ・ミョンロ 美術:キム・ジニョン 製作:gozip studio / AMOROSO FILM 挿入歌:globe「DEPARTURES」「FACES PLACES」(avex globe) 日本語字幕:田村麻美 宣伝美術:廣田毅(th design) 提供:JAIHO/SPOTTED PRODUCTIONS/Hulu 配給:SPOTTED PRODUCTIONS/TWIN
2025|韓国|カラー|シネマスコープ|ステレオ|104分|PG-12
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