山形国際ドキュメンタリー映画祭にて上映された、アフガニスタンを舞台とするドキュメンタリー2作品が、この夏劇場公開。ひとつは市民賞(観客賞)も受賞した『ハワの手習い』(上映中)、もうひとつは8月15日から上映される『撃たれた自由の声を撮れ』だ(ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次)。

ナジーバ・ヌーリ監督『ハワの手習い』は、認知症の夫を世話しながら暮らす女性・ハワにまつわる物語。見た感じとても若く見えるハワであるものの、それもそのはず、夫は30歳も年上で、結婚当時のハワはわずか13歳だったのだ。「女性に教育は不要」というわけか、父はハワに学ぶチャンスを与えず、それもあってか読み書きができない。そしてハワの母は出産について何も助言してくれなかった。逆に言えばハワは自分で考えて物事に立ち向かっていくしかなかったわけだが、それが彼女の「学ぶ姿勢」を加速させた。また子供たちも知的に育ち、次女のナジーバはジャーナリストとして活動。母を映画に収め始める。勉強は楽しいし、やってみたかったことは山ほど残っている、とばかりに、娘の前でのハワは希望に輝いている。が、いっぽうでタリバンによる襲撃や占領は進んでいた……。
ザイナブ・エンテザール監督『撃たれた自由の声を撮れ』は、ラシュミンとナスタランの姉妹の物語。2021年8月、タリバンがアフガニスタンのほぼ全土を掌握したことにより、20年間続いてきた民主政権が崩壊した。女性たちは外で働く場を失い、教育の機会を奪われ、少女たちは親よりも年の離れた男たちと結婚させられて──と、このあたりは『ハワの手習い』ともリンクしていく。今のアフガンの惨状をどう、女性の立場をどう、海外の人々に伝えていこうか、そして、次世代にはもう二度とこんな時代を味わわせたくないのだ、という気持ちが強くこめられている。監督の「人間の自由、尊厳、教育、そして存在そのものの権利が脅かされるときに何が起こるのか。世界のどこであっても起こりうる普遍的な問題を映し出しています」というメッセージを感じながら鑑賞したい。
映画『ハワの手習い』
[東京]ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町 にて公開中
監督・撮影:ナジーバ・ヌーリ 共同監督・撮影:ラスール(アリー)・ヌーリ 製作:クリスティアン・ポップ 編集:アフサネ・サラリ 制作:TAG Film 日本語字幕:佐藤まな 配給:東風
フランス、オランダ、カタール、アフガニスタン|2024年|85分|ダリー語|DCP|英題:Writing Hawa
(C) TAG Film
映画『撃たれた自由の声を撮れ』
8月15日より [東京]ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国順次公開
監督・撮影・製作:ザイナブ・エンテザール 編集:モハマド・サミプール 制作:Lumier Film 日本語字幕:吉田ひなこ 字幕監修:後藤絵美、アウィード 配給:東風
アフガニスタン|2024年|70分|ダリー語|DCP|英題:Shot the Voice of Freedom
(C)Lumier Film


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