1986年にアメリカで製作され、90年に一部劇場で公開。日本では92年に上映されたいわくつきの一作『ヘンリー』が4Kで蘇り、8月28日よりシネマート新宿ほかで全国順次公開される。
なぜ、いわくつきなのか。内容が内容だからだ。当初、制作側はホラーを想定していたときく。だが、できあがったのは、薄気味悪いといえばいえるが、特にドラマティックというわけでもない内容の映画だった。ホラーならばあるべきエンタテインメント的要素、いいかえれば娯楽としてのかわいらしさがなかった。ただひたすら不愛想で、おぞましい連続殺人である。
モデルとなったのは、実在の連続殺人鬼、ヘンリー・リー・ルーカスの物語。彼は逮捕された時に「300人以上を殺害した」と豪語したという男で、「さすがにそれは盛りすぎだ」というのが定説のようだが、それでもかなりの人物をあやめたことに疑いはない。もちろん映画の中にも脚色された部分は多々あると思われるものの、なんというのだろう、「息をするように人を殺す」。そして手際が実にいい。殺すときも、殺した後の処理も、本当に無駄がなく、しかし、かといって事前に周到に何かを用意している風でもない。冷蔵庫の余り物でチャッチャッと炒めものかなんかを作るような感じで、その場にある道具を適当に使い分けて殺したり片づけたりする。この映画で私が一番恐怖を覚えたのはそこだ。「同じ手口で(殺しを)やっていたら、それは指紋みたいなものですぐにバレる。ヴァリエーションがなくっちゃな」みたいな言葉もとても印象に残った。音楽ではキッド・テイター&ザ・チーターズのロカビリーが効果的に使われている。
監督・製作・脚本はジョン・マクノートン、出演はマイケル・ルーカー、トム・トウルズ、トレイシー・アーノルド、キャム・ヘスキンほか。
映画『ヘンリー』
8月28日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
監督・製作・脚本:ジョン・マクノートン
出演:マイケル・ルーカー、トム・トウルズ、トレイシー・アーノルド、キャム・ヘスキン
1986年|アメリカ映画|カラー|83分|スタンダードサイズ|原題:HENRY: PORTRAIT OF A SERIAL KILLER
提供:キングレコード
配給:アンプラグド
(C) 1986 MALJACK PRODUCTIONS


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