国内外で話題を集めた日仏合作映画『海の底からモナムール』がいよいよ公開。フランス流の純愛を観に来てください(清水くるみ)

 フランス人のロナン・ジル監督の長編2作目となる『海の底からモナムール』が、いよいよ12月4日(金)から公開される。かつての出来事が原因で、地元に帰れなくなってしまったタクマ(桐山漣)と、彼を思い続けるミユキ(清水くるみ)。10年ぶりに帰郷したタクマを待ち受けていたのは、10年前と変わらぬ姿のミユキだった……。ここでは、本作のヒロインであり、ロナン・ジル監督の描く純愛を体現するミユキを演じた清水くるみにインタビューした。

――出演おめでとうございます。ようやく公開を迎えます。
 ありがとうございます。撮影は5年前になりますので、前回取材していただいた『青の帰り道』(2018年)よりも前の作品になります。

――本作への出演の経緯は?
 ロナン・ジル監督が、ネットにアップされていた私の映像を観て気に入ってくださったようで、それでオファーをしたと聞きしました。数多ある映像の中から私を見つけてくれたのは、うれしかったですね。

――出演が決まって、台本を読んだ時の感想は?
 予め監督から、この作品は「切ないラブストーリーです」という説明を受けていたので、幽霊の役を演じるとか、ホラー的な展開があるという部分については、それほど気になりませんでした。ただ、よく(長く)海の中にいるなっていう印象は持ちました(笑)。

――水中(海)での撮影はたいへんだったのでは?
 かなりの時間水の中にいましたから体力も削がれましたし、手足の皮膚もふにゃふにゃになりましたから(笑)。しかも、衣装(セーラー服)を着ているので、動き難いし、水を吸って重くなるしで、本当にたいへんでした。

――ミユキの役づくりはどのように行なったのでしょう?
 監督から等身大で演じてほしいという要望をいただきましたので、役について深く掘り下げるというよりかは、彼女の持っている陰の雰囲気を表現することを主眼にして演じるようにしました。それまでにも、結構陰なキャラを演じた経験はありましたので、そうしたものや、あるいはいろいろな作品を観て、その雰囲気を吸収して、役づくりに活かしました。

――幽霊感はどのように表現したのでしょう?
 本編では、“私は幽霊です”と明確にしているわけではありませんでしたから、芝居的な表現というよりは、メイクとか髪型とか、ライティングでそれっぽく見せる、という感じでしたね。ある意味、周りの方々に助けもらった部分です。

――逆に、死んでからの方が生き生きしているような気もしました。
 そうですよね。生きている時のほうが暗いし、死んでからのほうがよくしゃべりますから、なにかが吹っ切れたのかもしれません。

――フランス人監督の描く幽霊は、日本人の想像するものとは違いましたか?
 日本の幽霊って分かりやすいと思うんですけど、監督はそうはしたくなかったようで、実は、幽霊になってからは会話が成立していないんです。ただ、愛されたいという想いを抱いて彷徨っているという感じです。その意味では、曲の使い方や挿入のタイミングなんかも、フランスっぽいなって、私は感じました。

――幽霊になったみゆきは執拗に三津谷葉子演じるカオリを狙います。
 タクマが好きなこの人になりたい、全部吸い尽くしたいっていう思いからなのかなと理解していました。でもまあ、そこまで行くと純愛よりも執着なのかなっていう感じもしますね。

――まさにタイトルを具現化しています。
 そうなんですよ。英語にしたら「海の底からアイラブユー」ですから。なかなかに恐怖ですよね。

――ところで、5年前の作品を今観返しての印象はいかがですか?
 いやもう、思うところだらけですよ(笑)。(自分の)芝居が下手だなって思うし。ただ、そう感じるのは、今の私が成長している証拠なのかなとも考えられますね。

――今回共演のした4名との思い出はありますか?
 待ち時間は一緒に過ごすことが多かったので、私が一番年下ということもあってかわいがってもらったので、すごく優しいお姉さん、お兄さんという感じでした。劇中ではシリアスな展開が待っていますけど、その合間は、和気あいあいとした雰囲気で過ごしていました。

――最後に、読者へメッセージをお願いします。
 フランス人監督ならではの感性が活かされた作品になっていますので、ヨーロッパ、特にフランス映画が好きな方にはその世界観がマッチすると思います。もちろん、それ以外の方でも、独特な雰囲気が楽しめるはずです。ちょっぴり怖い部分もありますが、基本は純愛映画になっていますので、ミユキに焦点を当てて観ていただくと、彼女の想いや行動がより深く理解できるんじゃないかなって思います。よろしくお願いします。

ヘアメイク:堀川知佳

映画『海の底からモナムール』

12月4日(金)よりアップリンク吉祥寺 ほかにてロードショー

<出演>
桐山漣 清水くるみ
三津谷葉子 前野朋哉 杉野希妃

<スタッフ>
脚本・監督:ロナン・ジル 撮影: ドミニク・コラン 音楽:RONAN GIRRE & ASWEFALL 配給:アルミード 
2017 / 日本・フランス/ カラー/ シネマスコープ/ 5.1 / 84分
(C)Besoin d’Amour Film Partners

<あらすじ>
10年前、イジメに遭い、島の崖から飛び降りた女子高生・ミユキ(清水くるみ)は、「ただ愛されたい」という想いを抱き、17歳のままずっとこの瀬戸内海の浜にいる。

当時、ミユキが想いを寄せていたタクマ(桐山漣)は、同じく島出身のマツ(前野朋哉)に連れられ、それぞれの彼女・カオリ(三津谷葉子)とトモヨ(杉野希妃)と一緒に、卒業後初めて島に戻ることに。

その島では去年、かつて近所に住んでいた同級生のリカが溺れて死んでいた。「あの浜に行くな」という忠告を聞かず、浜でキャンプをする4人。夜、浜でミユキを見て、テントに駆け込むタクマ。海で泳いでいたカオリは、誰かに足を引っ張られ、危うく溺れそうに。果たして4人は、無事に帰京できるのか……。

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