愛と死のイメージを官能的に描く。小川洋子の人気小説が約4年の歳月を経て『ホテルアイリス』として映画化

 奥原浩志監督が「準備から完成まで、約4年かかった」と述べる力作『ホテルアイリス』が2月18日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほかでロードショーされる。原作は小川洋子の小説『ホテル・アイリス』だが、監督はそこにないシーンも付け加えており、その中の一つの場面が大きなキーとなる。

 舞台は海沿いのリゾート地(日本ではない)にある日本人経営の小さなホテル、「ホテル・アイリス」。視聴者にいくつもの推理を求めてゆく作品だと思うのでストーリーには触れないが、核となる登場人物はホテルを手伝っている“マリ”(陸夏<ルシア>)、孤島に暮らすロシア文学の翻訳家(永瀬正敏)、以上のふたり。ともに非常にセンシティブな心を持っている。翻訳家は過去に起きた殺人事件の真犯人ではないかと噂されており、マリは父親が不可解な事故死をとげた事実から立ち直っていない。

 このふたりがいかに出会い、いかにひかれあっていくか。美しいリゾート地の風景を挟みつつ、物語はときに官能的に、時に狂気をはらみながら展開していく。金勝浩一による美術、スワペック・コバレフスキによる音楽も、それぞれ目と耳に大いに訴えるものだ。

映画『ホテルアイリス』

2021年2月18日(金)より新宿ピカデリー ほか全国ロードショー

<キャスト>
永瀬正敏 陸夏(ルシア) 菜 葉 菜 寛一郎 大島葉子 マー・ジーシャン(馬志翔) バオ・ジョンファン(鮑正芳) リー・カンション(李康生)

<スタッフ>
監督:奥原浩志
製作:北京谷天傳媒有限公司、長谷工作室、紅色製作有限公司
プロデューサー:李鋭 / 奥原浩志 / 陳宏一 / 浅野博貴 / 山口誠 / 小畑真登
原作:小川洋子((C)幻冬舎「ホテル・アイリス」)
攝影:ユー・ジンピン(余靜萍)
音響:チョウ・チェン(周震)
美術:金勝浩一
衣装・メイク:KUMI、花井麻衣
音楽:スワペック・コバレフスキ
編集:陳宏一 / 奥原浩志
日本語字幕翻訳:奥原浩志
2021年|日本・台湾合作|100分|日本語・中国語|ビスタサイズ|5.1ch|DCP・Blu-ray
配給:リアリーライクフィルムズ+長谷工作室
(C)長谷工作室

公式サイト