- 2024年3月29日
許せないことに立ち上がった人々の雄姿。ヴェネツィア国際映画祭最高賞(金獅子賞)受賞作品『美と殺戮のすべて』
なんとも想像力をかきたてられるタイトルだが、視聴時間が進むにつれて、「ああなるほど」と合点がいく。物語の軸となるのは、ニューヨークのゲイカルチャーやパンク~ニュー・ウェイヴ・シーンともかかわりを持つ写真家のナン・ゴールディン。もうひとつの軸は、「オピオイド鎮痛薬」の一種であり、全米で50万人以上が […]
なんとも想像力をかきたてられるタイトルだが、視聴時間が進むにつれて、「ああなるほど」と合点がいく。物語の軸となるのは、ニューヨークのゲイカルチャーやパンク~ニュー・ウェイヴ・シーンともかかわりを持つ写真家のナン・ゴールディン。もうひとつの軸は、「オピオイド鎮痛薬」の一種であり、全米で50万人以上が […]
『クリフハンガー』、『ダイ・ハード2』、『ディープ・ブルー』などを手掛けた監督を務めたレニー・ハーリンの新作というだけで、痛快なアクションや二転三転するストーリー展開は約束されたといってもいい。原作はポール・リンゼイがノア・ボイド名義で上梓したサスペンス。円熟の域に達したアーロン・エッカートが主人 […]
観終わった頃には、誰もが自分の親友を思い起こすに違いない。その親友と今も交流していても、しばらく疎遠になっていても、もう二度と会えなくても、だ。 2016年の中国・香港合作映画『ソウルメイト/七月と安生』を、韓国・済州島を舞台とする物語に再生。ミソ(キム・ダミ)とハウン(チョン・ソニ)の関係を主 […]
「ひとつの技能に卓越しすぎてしまった男の悲哀」が描かれている。主人公は、元ボクシング選手のウチョル。彼は「賭けボクシング」で相手と戦い、結果、その相手は絶命した。もっとも実際は「激しく殴られたから、すなわち死んだ」というほど簡単なものではなく、相手だって同じくらいのウエイトのあるボクシング選手なの […]
ガイ・リッチー監督の2011年公開映画『ジェントルメン』とは別作品。あちらが複数形なら、こちらは単数形で迫る。主役のチ・ヒョンスに扮するのは、映画『神と共に』シリーズ(韓国で2700万人を動員)や、ドラマ『キングダム』シリーズでも知られるチュ・ジフン。興信所の超辣腕社長としてダンディな毎日を過ごし […]
『私の頭の中の消しゴム』『無垢なる証人』など数々の作品で知られる人気俳優、チョン・ウソンの話題作。彼は主演を務めるだけではなく、監督もこなしている。かつてミュージック・ビデオをディレクションしたことはあるものの、映画監督に取り組むのは今回が初めてのことであるらしい。2022年のトロント国際映画祭で […]
「実話をもとにした作品」であると知り、いきなりビビる。そして、「現在進行形の、最新テクノロジーを駆使した戦争とはこういうものなのか。ドローンはこのように活用されるのか。装甲車は本当に分厚い、鎧のような仕様なのだな。“海ゆかば”の時代とはえらい違いだ。だが人の命が粗末にされることには、結局同じなのだ […]
私がロサンゼルスに行った経験のあるひとから聞く感想は、「気候のあたたかさ」「太陽の輝き」「陽気な音楽」だったりするのだが、この映画で描かれているのはミステリアスな、いつまでも晴れない霧のような、しめっぽく、暗い、ロサンゼルスの姿だ。 物語は基本的に、老朽化の進むアパートに住むふたりの男、リーヴァ […]
舞台は1933年の京城(ソウル)。ご存じかと思うが1910年から45年まで朝鮮半島は大日本帝国に支配されていた。「京城」と名付けたのも日本側の意志だ。臣民として生き、日本語を覚え、しゃべり、日本人と同化することを考えていたひとも、それだけはいやだと自身のルーツに忠実にあろうとしたひともいた。その「 […]
ものすごい作品だ。どこをどうすればこんな性格の主人公に生まれ育つのだろう。「ノルウェーのアカデミー賞」ことアマンダ賞では5部門にノミネートされ、2022年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にも出展された話題作。この「視点」はとんでもないと、おののきながら見入った。 主人公・シグネはいうなれば、承認 […]