互いに気はあるものの、その気持ちを伝えきれずにそれぞれ別の高校へ進学した舞と智樹は、中学時代のクラスメイトの葬式を機に久しぶりに再会をする。そんな二人が奇妙で濃密でキュートでファニーな24時間を共にすることに……。
『れいこいるか』が「映画芸術」2020年日本映画ベストワンに選出され、『甲州街道より愛を込めて』(8月5日より公開中)、『遠くへ,もっと遠くへ』(8月13日より公開中)、『あいたくて あいたくて あいたくて』(8月13日より公開中)と監督作が怒涛の公開に沸くいまおかしんじ監督。公開ラッシュの最後を締めくくるのは、いまおか作品にしては「まさか!」の高校生の男女の青春物語。かぐや姫の名曲『神田川』で知られる神田川を舞台に、青春の甘酸っぱさを描きながらもいまおか監督ならではの不思議な空気感漂う映像が観る者を温かく包み込む。全編の85%以上が屋外ロケーションによる、東京都杉並区からお隣の武蔵野市にある井の頭恩賜公園までの小さな旅を描いた異色のロードムービー。
主人公の舞と智樹を演じるのは、2021年の東京国際映画祭や上海国際映画祭において世界から高い評価を受けた『スパゲティコード・ラブ』(21年)の上大迫祐希と、キネマ旬報ベスト・テン、ヨコハマ映画祭、日本映画プロフェッショナル大賞でベストテンに選ばれた『アルプススタンドのはしの方』(20年)の平井亜門。近作の熱演が記憶に新しいフレッシュな二人の新たな魅力が爆発する。
本作は、9月2日(金)より池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺、9月9日(金)より、アップリンク京都、9月10日(土)よりシネマスコーレ (名古屋)、第七藝術劇場(大阪)ほか全国順次公開が決定している。
この度、公開を前に、神田川沿いの40分ものワンシーンワンカットの長回しシーンより、4分弱の映像が到着。また、本作で映画初主演の上大迫祐希のオフィシャルインタビューが届いた。
――互いに気はあるものの、その気持ちを伝えきれずにそれぞれ別の高校へ進学した舞と智樹が、中学時代のクラスメイト・神田の葬式を機に久しぶりに再会して、神田川沿いを自転車でゆくロードムービーですが、脚本を読んだ感想はいかがでしたか?
ひとつひとつの言葉やお互いを意識する雰囲気に、高校生の甘酸っぱさがあって、心温まる作品になると思いました。
――演じた舞をどのような人物だと捉えましたか?
怒ったり泣いたり感情に素直な女の子で、「楽しい!」って自分で思うことに対しては、思い切りそっちに振り切って楽しんじゃう女の子だと思っていました。私自身も好奇心旺盛で、「やってみたい」と飛び込んじゃうところがあるので、そういうところは似ています。あとは、舞は結構自分勝手なところがあるなと思ったので、その行動がわがままになりすぎないようにと注意しました。
――冒頭の40分の長回しは不安ではなかったですか?
めちゃくちゃ不安でした。最初脚本をいただいたときは、どこをどう長回しで撮影するかわからず、撮影に入る前になって、「ここのシーンからここのシーンまで長回しだよ」と言われたんですけど、「これを全部長回しってどういうことなんだろう?」と私の中でロケーションが想像できていなくて、当日実際に長回しのルートを確認するまでドキドキでした。
――カメラの位置など、他の映画の時には気にしないのに本作の長回しでは注意していた点はありますか?
カメラの藍河(兼一)さんも舞と智樹と同じように自転車での移動だったので、カメラとの距離だったり、お互い自転車の智樹と狭い道をどう進むかというところは探り探りでした。ずっとカメラに収められているシーンだったので、きちんと画角に収まるようにということは意識しました。
――智樹の、舞と同じドリンクを飲むシーンがめちゃくちゃかわいかったんですが、演じていていかがでしたか?
私自身ああやって男の子と同じ飲み物を飲むというのは初めてだったので、最初は距離感にびびっちゃってお互い笑っちゃいました。舞が結構ぐいぐいの女の子だったので、「好きな人とだったら全然できる」っていう感じかと思い、ノリノリでやらせてもらいました。
――いまおか監督とご一緒していかがでしたか?
本読みの時は、特別深い話はできていなかったんですけれど、いざ現場に入ってみたら、その場での指示が多くて、それも、想像のつかない突拍子もないことが多くて、それ込みですごく楽しかったです。
――完成した映画をご覧になった感想はいかがでしたか?
結構素の状態で会話をしていたので、舞でありつつも素の上大迫だったんじゃないかなと思います。高校生らしい甘酸っぱさが描かれていたので、観た人が当時の気持ちを懐かしく思う作品になっているんじゃないかなと思いました。
――本作の見どころはどこだと思いますか?
いまおかワールドの炸裂だと思います。「友達の思いを伝えてあげたい」っていう高校生二人の純粋な気持ちがあって始まる物語だと思うので、この作品を観たときに、「今伝えたいことがある相手には、伝えておくべきなんじゃないか」と思えるような作品になっているかと思います。
――読者にメッセージをお願いします。
序盤から普段見るような映画とは違った始まり方をする作品で、ずっと何が起こるかわからないまま色んな展開が盛り込まれているので、高校生の冒険みたいな1日を楽しんでいただけたら嬉しいです。
映画『神田川のふたり』
9月2日(金)より 池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
<あらすじ>
川をのぼった先にあるもの……。
亡きクラスメイトの想いを届けるため、ふたりはゆく。
高校2年生の舞と智樹は中学時代のクラスメイトの葬儀の帰り、久しぶりに二人きりで神田川沿いで自転車を押していた。二人は互いに気があったものの、思いを伝えられず別々の高校へ進学していたが、どうもその気持ちはまだ続いているようだ。
東京都杉並区永福町の幸福橋から高井戸方面へ神田川沿いを上る二人は、上下オレンジ色のスウェットに両手首を縄で縛られ倒れている謎の男に遭遇するが、その遭遇がきっかけで下高井戸八幡神社へ行くことになる。神社で亡きクラスメイトが想いを寄せているみおという名の女性との恋が成就するようにと祈願した絵馬を発見した二人。井の頭恩賜公園のボート乗り場で働くみおに亡きクラスメイトの想いを伝えるため、舞と智樹は神田川の源流である井の頭恩賜公園へ向かうことに。
みおがお気に入りのクマのキャラクターのぬいぐるみと、告白には欠かせないとクラスメイトが言っていたモンブランをゲットし、なんとか日没前に公園に到着するも、その日はみおが非番のため会うことができずに翌日に改めることにする。
すっかり日も暮れて賑やかさを増す吉祥寺の街を歩く2人だが些細なことで口論となり、それぞれが夜の街に消えていく。バッタリ会った高校の同級生と路上で話し込む智樹の前を、ナンパしてきた男と二人で街をゆく舞が通りかかり……。
<キャスト>
上大迫祐希 平井亜門
椎名糸 岡本莉瑚 橋本達 内藤光佑 有永結咲 美波愛子 たきみずなお 村田美輪子
佐藤宏 石綿宏司 逢澤みちる
<スタッフ>
製作:嶋田豪|プロデューサー:佐藤嘉一|アシスタント・プロデューサー:安藤佑介 舟橋清美 瀧水和生|脚本:川﨑龍太 上野絵美|撮影監督:藍河兼一|録音:赤羽一真|美術・小道具:阿多満|編集・効果:川﨑雄太|MA・整音:平井光一|メイク:伊藤里香 佐藤由佳|主題歌:「流星」歌:D☆SHOUT 作詞:Zenny 作曲・編曲:Toshihiro Takita|制作:株式会社H&Sエンターテイメント|製作:株式会社サニーレイン|監督:いまおかしんじ|配給・宣伝 アイエス・フィールド
2021年/日本/カラー/83分/ビスタサイズ/5.1ch/DCP/G
(C)2021 Sunny Rain