河瀨直美監督を審査員長に迎え、2017年に発表された第1回木下グループ新人監督賞で241本の中から準グランプリに選ばれた作品『人数の町』が9月4日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて公開となりました!
主演に、今最も勢いのある俳優・中村倫也。そして令和版「東京ラブストーリー」での赤名リカ役が話題の石橋静河。本作で映画初出演となる「ニッポンノワールー刑事Yの反乱ー」の立花恵理。「映像研には手を出すな!」に出演中の山中聡などフレッシュな面々が顔を揃える。監督・脚本は、松本人志出演の「バイトするならタウンワーク」のCMやMVなどを多数手がける荒木伸二が初の長編映画に挑戦いたします!
このたび、劇場での初日舞台挨拶ではなく、「公開記念リモート舞台挨拶」を行い、主演の中村倫也、石橋静河、荒木伸二監督が登壇し、本作の印象に残ったシーンやTwitterからの質問などに答え、劇中で石橋さん演じる紅子の姪である末永モモ役の吉田萌果(めいか)ちゃんが監督にサプライズで登壇し、本作の海外の映画祭へ選出されたことを発表いたしました。今回の舞台挨拶は無観客で行い、その模様をユナイテッド・シネマアクアシティお台場へ生配信いたしました。
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冒頭の挨拶で中村は「これは、上映前?上映後の挨拶?上映後なんですって」と舞台挨拶が本編鑑賞後のお客様に向けてなのかどうかを確認してから、「だからといって(内容について)そんなに喋らないと思いますけれど、楽しんでいっていただければと思います」とニッコリ。石橋は「こんにちは。観てくださってありがとうございました。楽しんでいただけたら、うれしいです」と笑顔を浮かべる。荒木監督は「こんにちわ、映画、いかがだったでしょうか?」と呼びかけ、続けて「新人の映画監督、荒木と申します。よろしくお願いいたします」とお辞儀した。
本作は、とても不思議な設定のストーリー。印象に残っている撮影シーンについて訊かれた中村は「印象に残っているシーン……」と少し考え込み、「いろんなことがあったからな。プールのシーンかな。みんな同じ水着を着ているけれど、個性が出るシーン。町での撮影から、プールでの撮影になったので、そういう場所ってなんか気持ちがほぐれますよね。不思議な感覚というか。心地いい(空間)けど、芝居で会話をするとギョッとするという、不思議なバランスの空間でした。(芝居を)やっていて楽しいって感じました。そのへんの構成というのは、荒木監督の巧みなところなんですよね。ニクいね、ってなります」と賞賛。これに対し荒木監督が「ありがとうございます」と丁寧に頭を下げてお礼を言うと、中村が「そのへん、ニクいねってなりますね」と再び褒める。そんな中村のコメントに対し、さらに荒木監督が「ありがとうございます」とお礼を述べ、この日の舞台挨拶で「ありがとうございます」というフレーズがキーワードになりそうなことを予感させるやりとりを見せた。
石橋は「どのシーンもすごい不気味で面白かったです。個人的には私が演じた紅子が妹を探す旅を始めるときに、病院に行くシーンが印象に残っています」とコメント。続けて「病院に行くシーンというとても日常の世界なのに、すごく不穏な空気が流れている。そこから、誰を信じていいのか、誰が嘘をついているのかと考えて悩んで行く。おもしろいシーンだったなと思います」と説明した。ここで、荒木監督がすかさず「ありがとうございます」とこの日の舞台挨拶のキーワード?!で対応し、笑いを誘っていた。そんな荒木監督は「12日間、ずっと撮影をしていました。まるで戦争みたいな日々だったので、どのシーンという印象よりも、”ここを撮影したら、次!次!”という感じで、ドンパチやって次行くぞ、その連続でした。なので、”なんか楽しいぞ”という瞬間(を感じる)よりも、戦いのような日々でした。充実していましたが、本当に濃かったですよね?という印象です」と解説すると、中村が「ありがとうございます」と笑顔で本舞台挨拶の決め台詞を言う場面もあった。
荒木監督は続けて「ほっこりしたりとか、そういう瞬間があるわけでもない(映画です)。だけどおかしみがあるようなところはあって、そこを凝縮して撮った作品でもあります」とまとめると、ここでMCが「ありがとうございます」と返答。登壇者の「ありがとうございます」が飛び交う舞台挨拶は、終始笑い声も飛び交っていた。
『人数の町』のタイトルにちなんで「もし、町長になって好きな町を作るとしたら、どんな町を作りたいか」という質問に、中村は「公園をいっぱい作って、ラベンダーをたくさん植えて……。そこで夜な夜なみんなで踊り明かして。フォークギター片手にジョン・レノンを歌いたいです」と回答。MCからの「ピースな感じですね」というコメントを受けて、「お前らが”イマジン”しろという世界を作りたいです」とジョン・レノンの名曲にちなみ、中村らしい独特の表現で説明。続けて「(質問への回答が)深いですね?」と自身のコメントに関心した様子を見せながら「ありがとうございます」で締めくくるという、回答、感想、締めを一人で対応するトーク術で魅了した。
石橋は「宇宙飛行士が訓練しているときのような、(人が)浮遊する町を作りたい」と回答。中村が「町全部が無重力空間ってこと?」と質問すると、「はい!」と元気よく返答した石橋。中村が「やりたいの?」と顔を覗き込むような動きを見せると、石橋は「1日くらいならって思います」と恥ずかしそうに笑う。これに対し中村が「町長だって言ってるのに、1日なの?」とツッコミを入れると、石橋は「1日限定で」とうれしそうに笑い、続けて「(浮遊空間は)顔がすごい浮腫みそう」と女優らしい心配をしていた。「(1日)署長とかならあるけれどね」と考え込む様子を見せる中村に「1日じゃダメですかね?」という石橋の質問に「いや、できるって。諦めんなよ」と鼓舞する中村。これに対し石橋は「あきらめずに頑張ります」と気合十分。するとすかさず、中村が「協力するよ」とフォローする息の合ったやりとりを見せた。中村自身は石橋構想の浮遊空間の町には「行かないです」と宣言。その理由は「楽しそうだけど、維持するのにすごいお金がかかりそうだから」とのこと。「全面NASAを味方につけるしかないね、そうNASAれ!」とジョークを飛ばし、取材陣の笑いを誘った。盛り上がるコメントをした中村に対し、荒木監督から「ありがとうございます」と、またまた決め台詞が飛ぶと、中村がすかさず「ありがとうございます」とここでも「ありがとうございます」のやりとりが行われた。
作りたい町について荒木監督は「実際にあるかもしれないけど、島ぐらいの小さな町を舞台にしたいです」と回答。「なんか、絶望的な状況になったりすると(それだけで)町自体が変わっておもしろいと思います」とし、「例えば、明日1日東京に車はありません。となったら、おもしろいと思いました、ありがとうございます」と本作で”不思議な町”を描いた監督らしい笑顔を浮かべる。続けて「たしか、中国でそんな町があったと思います。突然町の車がなくなる。そんな状態に途中からなったら、おもしろいですよね。人が急にいなくなったりしたら……。(町に)何かを足していくより、引いていくほうがおもしろいと思いました」と解説したあとに、「ヌーディストビーチみたいな町かな」と構想のイメージを明かし、「引くことで人間変わるぞ。というところを見たいです」と解説していた。MCからの「いろいろな町ができそうですね」というコメントに荒木監督は「ありがとうございます」と回答。すると中村が「(ありがとうございますばかりが飛び交う舞台挨拶を)あいつらやべーんじゃないかっていう感じになってませんかね」と心配する様子も見せていた。
ここで、ツイッターで募ったお客様からの質問に答えるコーナーに。ここでも中村、石橋が「ありがとうございます」を合計4回繰り返す場面も。「ルールがわからないものに挑戦するとき、バイブル(説明書)は熟読するタイプなのか、実戦で試していくタイプなのか」という質問に、中村、石橋、荒木監督は声を揃えて「実戦派!」と回答。中村が「こういう仕事をしていると、そういう場面に出くわすことが多いですよね」と説明すると、荒木監督は「それ、ルールだったんだ、って後からわかることも多い」と笑顔を浮かべる。中村は「やってみてから考えるみたいなところがありますね」と、撮影現場では臨機応変な対応力が求められることを明かしていた。中村が「電化製品とかは説明書読んでますか?」と質問すると、荒木監督は「読まないですね。押して使えなかったらダメなんだって思います」とまさかの告白。これに対し、中村は「見よう!ネットでも見れるから(笑)」とアドバイスする場面もあった。これに対し中村は電化製品とかはなんとなく使い方がわかるとしながら、「よりよい機能は読んで試す、深掘りするときは読みます」とコメント。石橋も「やってみればなんとなくわかるなって思っています。もし、使えない機能があっても、自分がほしいって思ってないなら、それは必要ない機能だし」と解説に、中村と荒木監督が大笑いする場面もあった。
ここで中村が、石橋の瞳を見ながら「何、うるうるしてんの?」とツッコミを入れる場面も。先日の完成披露会見でも中村が触れていた”石橋の瞳の美しさ”を思わせるやりとりだった。続けて中村が「便利な世の中になったんですね。素晴らしいですね」と優等生コメントを披露すると、監督が「どうしたんですか?」と質問。これに対し、中村は「いろんな企業を敵に回したくないなって思って」と笑顔で返答し、ここでもまた3人が揃って「ありがとうございます」と締めくくっていた。Twitterに寄せられた質問の数について中村は「7万通来たみたいですよ。その中で選ばれた質問のひとつです」と説明。7万通という数字に報道陣から「お?」という驚きの声が上がると、中村は「って石橋さんが言ってました」とおどけた表情を見せていた。
ここでMCから「監督に内緒でサプライズゲストがいらっしゃっています」というアナウンスが。中村が「初恋の人かな?」といたずらっぽくコメントすると、子役の吉田萌果が花束を持って登場し、「お花です」と監督に手渡した。中村は「萌果、ちゃんとマスクしてきたんだね」とニッコリ。石橋も「大きくなったね」とかわいいサプライズに優しい笑顔を浮かべていた。挨拶のためにマスクを外し、マスクケースに入れる吉田。中村はしゃがんでその目線を合わせその様子を見つめる。ここで、吉田が「こんにちわ。末永モモ役の吉田萌果です。5歳です。好きな色は桃色です。よろしくお願いいたします」と挨拶。すると中村が声真似をして「将来はお金持ちになります」とコメント。これに対しすかさず監督が「映画に出資してね」とやりとりする場面もあった。
花束の理由について吉田は「モスクワ、バンクーバー、おめでとうございます」と監督へ伝えると、ここで、モスクワ国際映画祭、バンクーバー国際映画祭への正式招待作品として選出されたことが発表され、会場は拍手に包まれた。
荒木監督は、「カナダとロシア、行きたいです。バンクーバーとモスクワ行きたいです。パスポート取りに行かないと」とソワソワ。中村が「(気になるところ)そこですか?」と笑顔でツッコミを入れていた。目で会話をする中村と吉田の様子を見たMC「ほんとは(花束を)どっちに渡したかったの?」と質問すると、しばらく考えた吉田は「石橋静河さんです」と回答。これには石橋も「胸を射抜かれました。ありがとう!」とこの日一番の笑顔を見せつつ、「でも、中村さんがすごく好きなんだよね」と吉田に問いかける場面も。すると中村が「春に、萌果のお兄ちゃんと仕事したんです。家族ぐるみの付き合いになるので、多分、来年の今頃は庭でバーベキューするくらいに(仲良く)なっていると思います。バーベキューのときには家からトング持っていくね」とコメント。花束がもらえなかったことに対しては「僕の初恋は今、やぶれました。やさぐれようと思います」と残念そうな様子を見せつつも、豚のモノマネをして吉田を笑わせる場面も。この様子に「主役の顔を見て笑う。パラーバランスがわかりますね」とコメントし、笑いを誘っていた。
最後の挨拶で石橋は「今日は本当にありがとうございました。監督が今まで生きてきて、考えて来たことがそのまま作品になっているのだと思います。そんな嘘がない作品に出れることがうれしいです。映画はそうあるべきだと思うので、そういう作品に参加できてうれしいし、観た人にも、これから観る人もそんなところを楽しんでほしいと思います」とコメント。
中村は「本日はありがとうございます。いろいろな作品に関わらせてもらって、(自分が感じたことなどを)考えてコメントする場面もたくさんあります。でも、この作品は、それぞれの反応、感じること、記憶に残るポイント、家に帰って思い出すポイントが違ってくる作品です。この映画を観ることは、お金と時間を払っていただいて、ゲットした自由だと思うので、何度か思い返しながら、楽しんでいただければと思います。ん? 萌果が僕を見て笑っています。バカにされているのかな? うふふふふ。萌果もなんか言う? え? 無視ですね。ありがとうございます」と吉田との可愛いやりとりを見せながら挨拶し、イベントは幕を閉じた。
映画「人数の町」
9月4日より新宿武蔵野館ほか 全国ロードショー
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借金取りに追われ暴行を受けていた蒼山は、黄色いツナギを着たヒゲ面の男に助けられる。その男は蒼山 に「居場所」を用意してやるという。蒼山のことを “デュード” と呼ぶその男に誘われ辿り着いた先は、ある奇妙な「町」だった。「町」の住人はツナギを着た “チューター” たちに管理され、簡単な労働と引き換えに衣食住が保証される。それどころか「町」の社交場であるプールで繋がった者同士でセックスの快楽を貪ることも出来る。ネットへの書き込み、別人を装っての選挙投票……。何のために? 誰のために? 住民たちは何も知らされず、何も深く考えずにそれらの労働を受け入れ、 奇妙な「町」での時間は過ぎていく。ある日、蒼山は新しい住人・紅子と出会う。彼女は行方不明になった妹をこの町に探しに来たのだという。ほかの住人達とは異なり思い詰めた様子の彼女を蒼山は気にかけるが……。
出演:中村倫也 石橋静河
立花恵理 橋野純平 植村宏司 菅野莉央 松浦祐也 草野イニ 川村紗也 柳英里紗 / 山中聡
脚本・監督:荒木伸二 音楽:渡邊琢磨 製作総指揮:木下直哉 エグゼクティブ・プロデューサー:武部由実子 プロデューサー:菅野和佳奈・関友彦 音楽プロデューサー:緑川徹 製作:木下グループ 配給:キノフィルムズ 制作:コギトワークス
(C)2020「人数の町」製作委員会