映画『ソワレ』、大ヒット御礼舞台挨拶を開催。外山監督は、100人以上のオーディションから選ばれた「芋生悠」の女優魂を絶賛!

 豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らで立ち上げた映画製作会社 「新世界合同会社」の第 1 回目のプロデュース作品『ソワレ』が8 月 28 日(金)に公開してから約2週間。映画業界で今もっとも熱い視線を受ける女優の一人となったヒロイン・芋生悠と外山文治 監督を迎え、9月13日(日)東京・新宿のテアトル新宿にて大ヒット御礼舞台挨拶を実施しました。

 公開から約2週間を経ての周囲の反響について、芋生さんは「結構、同業者の女優さん、俳優さんからLINEで『見たよ』と連絡をいただきます。みんな長文で感想を送ってくれて、ご自身と照らし合わせて『ソワレ』を見てくれていて、最後に決まって、『ありがとう』と締め括られています。『自分にとっても大切な作品になった』と言っていただけることが多くて嬉しいです」と喜びを口にする。

 外山監督の周囲でも反響は大きいようで「おかげさまで評判が良いです。セリフも少ない映画ですし、お客さまにゆだねる部分が多い作品なので、もう少し賛否あるんじゃないか? 受け入れられるかわからないなと思っていたのですが、気に入ってくださる方が多くて、嬉しいですし、芋生悠の評判がとっても良いので、本当に選んでよかったなと」と嬉しそうにうなずいた。

 撮影から1年以上を経ても、インタビューやプロモーションの場で、また日常のふとした瞬間に、自身が演じたタカラの気持ちがよみがえってくることがあり「過呼吸になる瞬間もある」という芋生さん。壮絶なトラウマを持つ彼女とどう向き合ったのかを尋ねると「自分がこの役を演じるにあたって、タカラと共倒れになったらいけないなと、できるだけタカラという役と一緒に歩く――横に並んで、一番近くで私がタカラを見ていたいなと思っていました。憑依するのではなく、彼女が感じたものを素直に私が(横で)感じたいという思いで、一緒にいました」と振り返る。

 外山監督は100人を超える候補者の中からオーディションで芋生さんを選んだ理由について「お仕事を一緒にしたことはなかったけど18歳の頃から知ってはいたんです。渋谷で行われた写真展を見て、印象的だなと思ったんですが、家に帰ると『どんな子だっけ?』と記憶から抜けていたんですね。それは、彼女が未成年でまだ人間の核や形が出来上がっていなかったからフワッとしたものを感じたんですが、それが(もう一人の主人公で村上虹郎が演じる)翔太の高校時代に気づかなかったというところにマッチするんじゃないかと感じました。オーディションの時は二十歳で、もう大人の女性としての核ができていて、生命力をどの参加者よりも感じました。記憶からすっと抜け落ちてしまうような未成年の時期を経て、いま、タカラのトラウマを乗り越えようとするさまを表現するには、芋生さんが一番適していると感じました」と熱く語った。

 この日は、その芋生さんの貴重な最終オーディションの映像をはじめ、撮影現場でのメイキング映像、クランクアップを迎えた瞬間の映像などが特別に上映された。監督によると、何名かの候補者に絞られた最終オーディションの段階で、村上さんの方から「参加します」という申し出があり、参加者たちは実際に村上さんを相手に芝居をすることになったという。

 芋生さんは「恥ずかしいですね…」と照れていたが、監督は「山口百恵のようですね」とにっこり。監督は、村上さんと女優の“マッチング”を確かめていたそうだが「W主演なので、ひとりひとりの個性が大事で、決して交わらなくていい。全然違う2人を見たいと思っていた」とその意図・選考基準を説明。「(村上さんと芋生さんは)お互いに全然染まらず、染められず、キャラクターの違う2人が画面に共存しているのが素敵だなと思いました。ベストカップルというと、『お似合い』というイメージがあるけど、必ずしもそうじゃなくて、ひとりひとりとして互いを刺激し合える並びだなと思った」と異なる個性でぶつかり合う村上さんと芋生さんこそがベストの組み合わせだったと語った。

 オーディションで、芋生さんが村上さんに対し「漫画の主人公みたいやな」と言う姿が見られたが、芋生さんはこの日が村上さんと初対面だったそうで「お芝居をすることになって、面接官の側から村上さんが出てきて、向かい合った時に本当に村上さんがキラキラしてて、まっすぐで、『確かに漫画の主人公みたいだな』と素直に思いました(笑)。村上さんはセリフを言うとき、ちゃんと気持ちが出てきた時に嘘のない言葉を発してくれるので、タカラを演じようとしないで村上さんと対話できたらいいなと思って、すごく楽しかったです」とこの時の心情を明かした。

 改めて「これからの芋生悠」への期待を問われた外山監督は「羽ばたいてほしい! 現場で地元の方たちが虹郎くんにバーッとサインを求めに行くし、プロデューサーの2人(豊原功補さん&小泉今日子さん)も全国の人が知ってるんですけど、その様子を芋生さんと見ながら『きみもきっと、この映画を経てああなるよ』と言った記憶があります。きっと彼らの仲間入りをするだろうと。大きく羽ばたいて、いろんな人の心に残ってほしいし、大きくなって戻ってきてほしいです」とエールを送った。

 最後に監督は「映画は年に500本、600本と作られて消費されていく世界ですが、それに背を向け、一生心に残るものをと作った映画です。ふと『タカラはいまどうしてるかな?』『翔太はどうしてるかな?』とみなさんの心に彼ら残ってくれたら嬉しいです」とあいさつ。

 芋生さんは「こないだ、この映画館に『ソワレ』をひとりで見に来て、その時、タカラと一緒に過ごした時間が自分の中に今も生きているなと感じました。私自身もずっとこの映画に生かされていて、この映画があるから、私は明日も生きられるなと思っています」と改めてこの作品への強い思いを口にし、温かい拍手に包まれて舞台挨拶は幕を閉じた。

映画『ソワレ』

全国公開中

【作品概要】
本作は、老老介護の厳しい現実を見つめた短編『此の岸のこと』(10)や長編デビュー作「燦燦―さんさん―」(13)で海外からの絶賛を受け、センシティブな感性で唯一無二の世界観を作り出す新鋭・外山文治が和歌山を舞台にオリジナル脚本で挑む長編映画。主人公・翔太を演じるのは類稀なる吸引力で日本映画の台風の目になりつつある実力派俳優・村上虹郎と、100人以上のオーディションから大抜擢された最注目の新星・芋生悠(いもうはるか)の2人をW主演に迎え、若い男女の切ない逃避行を映し出し、各界から注目を浴びています。

【あらすじ】
ふたりで逃げた。幸せだった。
俳優を目指して上京するも結果が出ず、今ではオレオレ詐欺に加担して食い扶持を稼いでいる翔太。ある夏の日、故郷・和歌山の海辺にある高齢者施設で演劇を教えることになった翔太は、そこで働くタカラと出会う。数日後、祭りに誘うためにタカラの家を訪れた翔太は、刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けるタカラを目撃する。咄嗟に止めに入る翔太。それを庇うタカラの手が血に染まる。逃げ場のない現実に絶望し佇むタカラを見つめる翔太は、やがてその手を取って夏のざわめきの中に駆け出していく。こうして、二人の「かけおち」とも呼べる逃避行の旅が始まった──。

村上虹郎 芋生 悠
岡部たかし 康 すおん 塚原大助 花王おさむ 田川可奈美
江口のりこ 石橋けい 山本浩司

監督・脚本:外山文治
プロデューサー:豊原功補 共同プロデューサー:前田和紀 アソシエイトプロデューサー:小泉今日子 アシスタントプロデューサー:水野優子 ラインプロデューサー:金森保 音楽:朝岡さやか 音楽監督:亀井登志夫 撮影:池田直矢 照明:舘野秀樹 音響:弥栄裕樹 美術監督:山下修侍 装飾:中山まこと 衣装:宮本茉莉 ヘアメイク:河本花葉 編集:加藤ひとみ スチール:敷地沙織 助監督:石川浩之 制作担当:柴野淳 制作プロダクション:新世界合同会社 制作協力:キリシマ1945製作:新世界、ベンチャーバンクエンターテインメント、東京テアトル、ハピネット、ステラワークス、カラーバード 後援:和歌山県、(公社)和歌山県観光連盟 協力:御坊日高映画プロジェクト、和歌山市 配給・宣伝:東京テアトル
2020年/日本/111分/5.1ch/シネスコ/カラー/デジタル/PG12+
(C)2020ソワレフィルムパートナーズ
soiree-movie.jp