「notall」、コロナ禍で延期されていたツアーファイナルが遂に開催。オリジナルメンバーの佐藤遥、片瀬成美、田崎礼奈が活動終了、アンコール後も鳴りやまない拍手に「組体操の“扇”」で応える

 3月12日に予定されていた豊洲PIT公演のコロナ禍延期から2か月――。そのあいだ、時が止まってほしいと思ったファンも多かったに違いない。が、3人は5月の曇り空のなか、晴れやかに次のステップを歩みだした。

 アイドルグループ、notall(ノタル)の全国ツアー「WE ARE NOTALL TOUR 2022~みんな笑って!はい、チーズ!~」のファイナル公演が5月21日、サンパール荒川 大ホールにて開催。この公演をもって、デビューから約7年半、notallのオリジナルメンバーとして駆け抜けた、佐藤遥、片瀬成美、田崎礼奈の3名が活動終了した。

 notallは2014年5月に佐藤遥、片瀬成美、田崎礼奈、渡邊ちこ(19年3月脱退)の4人でスタートし、19年8月に有村莉彩、広山楓、音井結衣が加入した。「世界のみんなと一緒に育てる、次世代型ソーシャルアイドル」をコンセプトとして、衣裳デザイン、グッズ、詞や曲を一般公募するなど(すべてではないが)、SNSを活用した活動を積極的に展開し、「0円CD」、聞ける雑誌「NOT ALL」創刊などでも話題を集めた。基本的にライブ中の撮影がOKなのも、実に気前がいい。

 このツアーファイナル公演は、佐藤、片瀬、田崎、広山、音井の5人で行われ、111ヵ国で配信されたデビュー曲「恋のスマソークラ」、「ペンギン人間」、「my baby, my lover」など初期の代表曲から、「白黒つけてよ恋の天下一舞踏会~あーだこーだ言われてもそーだそーだというのがパンダ~」「蛍火」など“ヴィレッジヴァンガード”コラボ曲、近作「DREAMIN’ City」などを次々と披露。田崎が作詞作曲した「あふれゴリラ」では田崎がステージ上で熱唱、ほかのメンバーが客席通路に降りてポンポンを持ってダンスを繰り広げた。

 シャボン玉や紙テープがステージから飛び、サインボールをメンバーが投げ、客席天井から直筆メッセージの書かれた紙(ハート型)が舞いおりるなど、演出もサービス精神たっぷり。VTRで流れた久保こーじ、石橋哲也、Symdolick(旧・きゃわふるTORNADO)等の心暖まるメッセージ、約3年ぶりにパフォーマンスされたという未音源化曲「We are notall!!!!」(渡邊のパートはメンバーの皆で歌うようにアレンジ)を経て、5人が心境を語った。<一部抜粋>

音井結衣 私は3人と一緒に歌って踊るときが本当に幸せでした。やめてほしくないですが、3人の気持ちを尊重して、そして今までの感謝を込めて、今日は送り出したいと思います。これからも健康で、幸せになってください。本当に大好きです。これからは私たちの番です。(ファンの)皆さんはこれからもnotallを好きになって欲しいです。これからもたくさん遊びに来てください。がんばります。

広山楓 本当は3月に皆(佐藤、片瀬、田崎)が卒業してしまう予定だったんですが、2ヵ月延長して、ちゃんとファイナルをしてくれる判断をしてくれてよかったなと思っています。もし(notallに)戻りたいと思ったら、いつでも戻って来てください。みんなも受け入れると思います。本当に今までお疲れ様でした。ありがとうございました。

田崎礼奈 正直なことを言うと、なぜ私はnotallを辞めるんでしたっけ?(一同笑) (渡邊)ちこちゃんが辞める時にすごく悲しくて不安だったんですけど、それと同じ思いを皆さんにさせてしまって申し訳ないんですが、これからもnotallは絶対大丈夫だと思っています。内気で清楚な私が(場内爆笑)、みんなと出会えて、みんなが笑顔になってくれて。私はnotallになれて本当に幸せです。今日は来てくれてありがとうございました。

片瀬成美 まわりはいろんな就活をしていましたが、私は就活とかよくわからなかった。芸能界で生きて行きたいなとは思っていましたが、アイドルになりたかったわけではなかったので、スタッフの方から(合格の)電話が来ても、あんまり嬉しくなくて(笑)。あの時は本当に申し訳ないなと思っているんですけど。8年間続けてきて悲しいこと、つらいこともたくさんありましたが、それをかき消すぐらい楽しいことの方が本当に多くて、こんなにも信頼できる仲間に出会えた。一年目のライブの時に「みんなの薬のような存在になりたい」とMCで言いました。何かつらいことがあるひとが、元気になれるような存在になれたらいいなと思ったんです。今後一人でどうなるか分からないですけど、薬のような存在になり続けていきたいなと思います。

佐藤遥 二人がこんなに笑いを取るとは思っていなかった(笑)。notallに気付いてくれて本当にありがとう。おばあちゃんになっても一緒にいたいと思える人と出会うことができました。辞めることを発表したときに、「大きいステージに立つことをあきらめたのかな」とか「夢を見れなくなったのかな」って思った人も、もしかしたらいるかもしれない。でも「そうではない」と私は断言します。アイドルを続けてきて気づいた大切なことは、どれだけ大切な人に出会えるかということ。大好きなメンバーとスタッフさん、そして何より本当に私たちありのままを愛してくれるファンの皆さんに出会えるってすごい難しいことだと思うし、家族や友達にも本当に感謝しています。

 当日の本当のラスト・ナンバー「きらめけ☆tweet girl !!」が終わっても、拍手は鳴りやまない。田崎、片瀬、佐藤は組体操の“扇”で声援に応え、そこに広山楓、音井結衣が合流(このふたりは組体操はしていない)。5人揃ってステージの端から端まで歩き、目線を送り、手を振り、マイクを通さない生声で感謝を述べ、最後の最後までファンに思いを刻み込んだ。notallはすでに新メンバーオーディションを済ませている(3月21日締め切り)。グループを離れた3人の今後と共に、近日中に発足するであろう新生notallにも限りない期待を寄せたい。

 ノタル新体制お披露目ワンマンライブ「notall 8th Anniversary ONE-MAN LIVE!!」が6月29日、神田明神ホールで開催されることが決定した(チケット情報、公演詳細、新メンバーに関しては追って発表)。

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