原田和典
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原田和典

  • 2024年6月12日

逸材「山﨑果倫」が主演を務めるビタースウィート・ヒューマン・コメディ『輝け星くず』

 発想、セリフ、セリフとセリフの「間」、すべてが面白い。といってもその場で即座に大爆笑という感じではなく、徐々に余韻がこみあげてくるというか。観終わって、外に出てから、ふと思い出し笑いをせずにいられなくなるというか。なんとも愛すべき一作に出会った気持ちだ。  「光太郎」と「かや乃」は恋人どうしで、「 […]

  • 2024年6月7日

交わることがなかったはずのふたりによる、奇妙で、味わい深い同居生活。心をふと温める一作。『違国日記』

 累計発行部数180万部を突破したヤマシタトモコ原作コミックの映画化。両親を交通事故で亡くした15歳の娘・朝(早瀬憩)が、その母の妹である小説家・槙生(新垣結衣)との心のふれあい、すれ違いなどが実にセンシティヴに描かれている。  朝と槙生は、朝の両親の葬儀で会う。だが槙生は姉(朝の母)が大嫌い。が、 […]

  • 2024年6月7日

観る者の「良心」に訴える重厚傑作。濡れ衣を着せられた少年たちの無罪を証明するため奮闘する刑事の姿を描く。『罪深き少年たち』

 視聴者の「憤怒」を呼び起こし、「正義感」に呼びかける。そうした作品が最近はとみに多くなった印象がある。そして、ほぼそれらは実話ベースである。一定の層が富と権力を持ち、のうのうと生きる陰で、多くの正直者がバカを見ている。21世紀も、もう4分の1が経ってしまうというのに、この実情はぜんぜん変わらない。 […]

  • 2024年6月5日

本邦初上陸、1969年イタリア製ウルトラ・ポップ・アヴァンギャルド・セックス・スリラー!

 「1969年イタリア製ウルトラ・ポップ・アヴァンギャルド・セックス・スリラー」というキャッチフレーズが、まさにぴったりの一作である。さぞ日本でもリアルタイムで公開されてポップなアートやユーモアを好むひとにウケたのだろうなとか、90年代の渋谷系で再評価されていたんだろうなとか、勝手にイメージしていた […]

  • 2024年6月5日

鬼才監督ロウ・イエ、2006年の「いわくつき」の一作がノンレストアで蘇る、『天安門、恋人たち』

 2006年に公開されたいわくつきの一作が、劇場で復活する。  監督は、上海の租界をテーマにした近作『サタデー・フィクション』が日本でも話題を集めたロウ・イエ。学生の時には天安門事件(1989年)に参加したこともある。その直後から映画化のことを考えていたというから、構想15年以上ということになろうか […]

  • 2024年6月1日

斉風瑞(さいふうみ)と南青山の超人気店「ふーみん」の物語。『キッチンから花束を』

 現在は東京の南青山、骨董通りで営業を続ける中華風家庭料理の店「ふーみん」にまつわる物語。1971年に神宮前でオープンして以来の歴史が丁寧に紹介されているのはもちろん、有名人(芸術家が多い)が語るエピソードの数々、納豆チャーハン、ねぎワンタン、豚肉の梅干煮など名物メニューの紹介、創設者・斉風瑞(さい […]

  • 2024年6月1日

愛する者を奪われた「よそ者」の気持ちがわかるか! 感情移入必至のエクストリーム・アクション『FARANG/ファラン』

 産声をあげたその瞬間から「悪」な人などいないはずだが、一度「悪」に染まると、その払拭は自分の力だけではどうにもならないのだろう。「悪」方面で光り輝いた者ほど、本人の意思など関係ないところで、「悪」方面からの熱い、カムバックに向けてのラブコールを受け続けることになる。更生とは、かくも難しい。  映画 […]

  • 2024年5月27日

『地獄の黙示録』×『バンビ』×『聖書』+α。テディベアとユニコーンの最後の聖戦を描くダーク・ファンタジー『ユニコーン・ウォーズ』

 アニメ、しかも動物キャラ。よって見かけはひじょうにかわいらしいし、色彩感覚もカラフルだ。が、これと同じ物語を生身の人間で描いたら、あまりにもむごすぎて、途中で観るのをあきらめる者もあらわれるに違いない。そのための「アニメ」なのかなとも感じた。  スペインのアニメーター、脚本家、監督であるアルベルト […]

  • 2024年5月25日

これもまた、パリの現実なのか。“暗部”を炙り出す才人、ラジ・リ監督の最新作『バティモン5 望まれざる者』

 banlieue(バンリュー)という言葉自体は20世紀の頃から知っていた。「バンリュー・ブルー」というジャズ・フェスティヴァルが催されているからだ。といっても私はフランスに行く機会が今なおなく、「どこかの地名なのだろう」と勝手に思い込んでいたのだが、違った。バンリューはフランス語で(パリ)郊外を意 […]

  • 2024年5月25日

収容所の「隣」で幸せな毎日を送る一家の肖像――――観る者の感性があぶりだされる要注目の一作『関心領域』

 こういうアプローチがあるのかと驚かされた。「“静”の不気味さ」、「青空の怖さ」をこれほど思い知らせてくれる作品に出会えるなんて。舞台となっているのは1945年当時の、アウシュビッツ収容所の「隣」。この「隣」というのがポイントだ。とはいえ、日本のように住宅が密集していないし、収容所の周りは「壁」。壁 […]