原田和典
AUTHOR

原田和典

  • 2023年5月26日

ボクシングやテコンドーの心得もあるアクション俳優、チャン・ヒョクの魅力が炸裂した一作『THE KILLER/暗殺者』

 現代屈指のアクション俳優、チャン・ヒョクの魅力が炸裂した一作であろう。とにかく彼の動きがすごい。といっても、大声をあげたり派手に手足を動かしたりはしない。レス・イズ・モアとでもいうのだろうか、抑えに抑えた、しかし機敏の極みともいえる動きで確実に敵を捉え、ノックアウトする。そして表情は、あくまでもク […]

  • 2023年5月21日

香港の「現在」を体感できる、ロマンティックでスタイリッシュな二作品を上映。「新世代香港映画特集2023」

 5月19日から〈新世代香港映画特集2023〉と題して、注目の二作品『私のプリンス・エドワード』と『縁路はるばる』が新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショーされる。  香港の若手監督、ノリス・ウォンにとって初の長編作品となる『私のプリンス・エドワード』は、香港の繁華街プリンス・エドワード地区の、とあるウ […]

  • 2023年5月13日

アイドルはファンの心を明るく照らす。幸せあふれる人気コミックが、ついに映画化。『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』

 アイドルを応援することで毎日がこんなに輝く。ひとつのことに熱心になると毎日がこんなに楽しい。そんな熱いスピリットが強く伝わってくる一作だ。  原作は、累計100万部超えの漫画『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(原作・平尾アウリ)。すでにアニメ化、テレビドラマ化されているが、今回は満を持しての映画化 […]

  • 2023年5月12日

フリークスvs鍵十字。自由と多様性が屈することは、決してない! 映画『フリークスアウト』

 異色作『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』の監督、ガブリエーレ・マイネッティが遂に新作を発表した。ヴェネツィア国際映画祭でコンペティション部門に選出され、ロッテルダム国際映画祭で観客賞、アカデミー賞で6部門を受賞した話題作『フリークスアウト』が5月12日から全国公開される。  私は『皆はこう呼んだ、鋼鉄 […]

  • 2023年5月12日

大ベテラン俳優たちがおくる、人生100年時代への応援歌。『それいけ!ゲートボールさくら組』

 過去、人生50年といわれた時代があったという。が、いまは人生100年時代。当然ながら年齢の描き方にもニュー・スタンダードがあっていいのだ。そうした意味で、この『それいけ!ゲートボールさくら組』は、王道エンターテイメントでありつつも、実は画期的な内容なのだと思った。  物語の中心になるのは、かつて高 […]

  • 2023年5月5日

歳月を経ても変わらないもの、それは友情。国際的ベストセラー小説が、最高の形で映画化。『帰れない山』

 イタリアの作家、パオロ・コニェッティの同名ベストセラー小説(39言語に翻訳)を、約2時間半にわたって映画化。第75回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作品、『帰れない山』が5月5日から全国公開される。  舞台は北イタリアのモンテ・ローザ山麓。主人公は山をこよなく愛する父親を持つ都会育ちのピエトロ(ルカ・ […]

  • 2023年5月5日

仕事、子育て、介護、新しい恋。目まぐるしい毎日を駆け抜ける。『それでも私は生きていく』公開

 「自分自身の人生はもちろん自分だけのものではないとしても、では、自分自身で自分そのものを思いっきり生きていると感じられる瞬間は、果たしてどんなときに訪れるのだろう?」  観終わったあと、しみじみと、そんなややこしいことを考えてしまった。  主人公は、サンドラという女性。5年前に夫を亡くしてから娘を […]

  • 2023年5月4日

4つの都会を舞台に、一人の女性の「あり得たかもしれない人生」を描く話題作『ジュリア(s)』

 人生は偶然の集積なのかもしれない。あのとき、あの人に出会っていなかったら。もしもあの電車ではなく、次の電車に乗っていたら。なにがきっかけで、どう変わるかわからないのが人生だ。  5月5日から全国公開される『ジュリア(s)』は、そんな“生の真理”(せいのしんり)的なものを、ユニークな手法で描き出す一 […]

  • 2023年5月4日

ロバはすべてをお見通しだったのか。スコリモフスキ監督、7年ぶりの長篇力作『EO・イーオー』

 主人公は、ロバ。「イーオー」は、その名前だ。ポーランドのサーカス団に所属していたが、諸事情により解散せざるを得なくなり、イーオーは元団員のカサンドラに連れられて、イタリアへ向かう旅に出る。途中、カサンドラの許を離れ、数々の人と出会う。命の危険を感じることもあるし、ホッとするようなひとときを得ること […]

  • 2023年4月28日

注目の女優、ミハリナがチェコスロバキア最後の女性死刑囚、オルガに扮した話題作、『私、オルガ・ヘプナロヴァー』

 2016年ベルリン国際映画祭パノラマ部門のオープニング作品を飾った一作(監督:トマーシュ・ヴァインレプ、ペトル・カズダ)が遂に日本に上陸する。1973年にチェコ・プラハで実際に起きた無差別殺人の犯人、オルガ・ヘプナロヴァーをモデルにした一作だ。非常に大変な役柄だったのではと思うが、『ゆれる人魚』や […]