江戸川乱歩の古典が、約100年の歳月を超えて斬新に蘇生。注目の存在、兎丸愛美も快演。『人でなしの恋』、6月25日より公開

 もう生きることすらあきらめたくなるほどのヘヴィーな恋の痛手から、ようやく立ち直ろうとする女性が主人公。友人のすすめで、ほんの軽い気持ちで「マッチングアプリ」に登録したら、思いもよらない「まともな」男性と出会うことができた。新しい恋に踏み出すことに決めたその女性は、以前の悲恋を一瞬でも早く振り払いたかったのか、異様なまでの熱意で彼を愛し、妻となり、仕事などで彼がそばにいないときの、ほんのささいな行動にも浮気のにおいをかぎつけて、狂おしいばかりの不安に襲われてしまい、探偵に調査を依頼する。果たして彼は浮気をしているのか? 高額な探偵代を、いち主婦である彼女は払えるのか? そもそも、彼は彼女を愛しているのか?

 原案は江戸川乱歩の同名小説、しかも1926年発表の作品だ。ほんのちょっとシチュエーションを変えただけで、100年近く前に書かれた物語が、こんなにも生き生きしてくる。人間なんて、男女の愛なんて、今も大正時代も大して変わりはしないのだ。主演の兎丸愛美はほぼ出ずっぱり、心や肉体の動揺を髪型(すごくきっちりしていたり、やけにボサボサだったり)で現す。

 監督は、あの鬼才・石井輝男に師事した井上博貴。6月25日、池袋HUMAXシネマにて谷崎潤一郎・原案『鍵』(個人的には、市川崑監督、京マチ子主演ヴァージョンが忘れられない)と同時公開。

映画『人でなしの恋』

6月25日(土)公開

兎丸愛美 細田善彦 渋江譲二 上野なつひ 織田美織
監督・脚本:井上博貴
製作・配給:BBB   
制作プロダクション:パロマプロモーション  
(C)2022BBB
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