男女3人が大阪でおりなす、痴情の愛。新鮮なヴァイブスに満ちた快作『コーンフレーク』

 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019 観客賞、第13回網走映画祭 準グランプリ、TAMA NEW WAVE ある視点部門に輝く『コーンフレーク』が1月21日より、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開される。

 ストーリーは、それなりの人がそれなりに体験したことがあるかもしれない、男女間の風景。6年間同棲しながらも、まだ結婚に至っていないカップルが題材だ。美保は保険外交員として忙しく働いており、裕也はかつてバンド活動でそれなりの人気を得ていた。だがバンド解散後、どうにも心が定まっていない。時間のない美保、時間のある裕也。しかも裕也はそれなりにモテるので、別の女性ともつきあいはじめる。よりによって、その女性が美保の後輩であることが、話をややこしく(鑑賞する側にとっては、興味津々に)させる。

 三角関係といえるかもしれないが、当然その描き方は昭和の日本映画とも、海外の映画とも異なるはずだ。見ているうちに「シャープな湿気」という言葉が浮かんだけれども、こう書いても何が何やらだと思うので、ぜひこの新鮮な感性を持つ映画を、3人の感情を俯瞰するような気持で観てもらえたらと思うのだ。

 脚本・監督は磯部鉄平、出演はGON、高田怜子、日乃陽菜美、手島実優ほか。撮影は磯部、GON、高田の地元である大阪で行われた。朝の光が差し込むなか、逆光気味に捉えられたコーンフレークが美しい。

 さらに追加でもうひとつ。とあるシーンで、ジャズファンならヨダレが出るに違いないレア・アイテムのジャケット写真が惜しげもなく登場する。スタン・ゲッツのルースト10インチ盤、チャーリー・マリアーノのファンタジー10インチ盤、こういった言葉に反応できるひとなら、ますます観たほうがいい。

映画『コーンフレーク』

1月21日より、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

<キャスト>
GON/高田怜子
日乃陽菜美/手島実優/木村知貴/南羽真里/土屋翔/ひと:みちゃん/時光陸/白井宏幸/松本真依/皷美佳/岩本守弘/五山智博/石井克典/谷口慈彦/小林未奈/すのう(特別出演)

<スタッフ>
監督:磯部鉄平
脚本:磯部鉄平・永井和男/撮影・照明:佐藤絢美/録音・整音・DIT:杉本崇志/制作:石井克典/美術:南羽真里/編集・カラーグレーディング:小林健太/音楽:kafuka(江島和臣) /挿入歌:「パンプス」(作詞・作曲:すのう/歌:小林未奈)/主題歌:すのう「コーンフレーク」(作詞・作曲・歌:すのう)/プロデューサー:谷口慈彦/製作:belly roll film/配給:モクカ/配給協力:Cinemago
2020年/95分
(C)belly roll film

公式サイト
https://www.cine-mago.com/cornflakes