ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー、ウィリアム・H・メイシーが集結、というだけで劇場にかけこみたくなるファンも多いはずだ。しかも舞台にはきらびやかな大都会ニューヨークも含まれていて、内容はといえば実にわかりやすく、粋で、しかもハラハラさせるところはしっかりとハラハラさせてくれる。甘美なラブ・ストーリー、軽妙なコメディ、青年カップルの結婚観のちがい、大人たちの道ならぬ恋のスリルが、洋画としては比較的コンパクトな90数分の中につめこまれているのだ。
ベテラン陣の存在感にはいうまでもなくすごいものだが、物語の中心にいるのは、あくまでもミシェル（エマ）とアレン（ルーク）のカップル。ミシェルは結婚したいのだが、アレンはさほどではない。そこで「結婚の先輩」であるそれぞれの両親をディナーに招き、いろいろ結婚について取材しよう、ということになったのだが、なんとミシェルの両親とアレンの両親はすでに顔なじみだったのだ……というのは「不倫」をしていたからなのだが、結婚を考えている息子や娘の前で、それがバレたらエライことになることぐらいは火を見るより明らかだし、親としてのプライドもある。あの手この手でごまかしていくあたりの、弁舌の巧みさときたら、どこか落語にも通じるおかしみがあり、結果として私は大物俳優たちにいっそうの親しみを持つことになった。
あと、劇中に登場するポップコーンやフライドチキンが異様に大盛りで、いかにもおいしそうなのもいい。監督・脚本マイケル・ジェイコブス。
映画『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』
3月8日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
監督・脚本：マイケル・ジェイコブス 製作：ジョナサン・モンテパレ 音楽：レスリー・バーバー 撮影：ティム・サーステッド 編集：エリカ・フリード
出演：ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー、ウィリアム・H・メイシー
2023/英語/95分/原題：Maybe I Do/字幕翻訳：長夏実/配給：AMGエンタテインメント
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