恋することは素晴らしい。アメリカでヒット中のラブコメが日本上陸。『恋するプリテンダー』

 恋をしたりキャッキャキャッキャと楽しむこと自体がご時勢上よろしくないみたいな雰囲気があるとすれば、それは本当に良くない。ここまで楽しく、笑えて、主人公に「がんばれ」とか「良かったね」と声をかけたくなる新作映画もずいぶん久しぶりな気がする。世界がニコニコしていた頃の、トレンディ系ストーリーの再来という印象も受けた。

 アメリカですでに2.16億ドル越えのヒットを記録しているというラブコメディがついに日本公開される。主人公の女性・ビー(ベアトリスの愛称)は弁護士を目指してロースクールに通っているが、とある大衆的なカフェで、ひょんなことから金融マンのベンと関わりを持つ。この、とあるエピソードを通じて、「おっちょこちょいなビーと、大人でそれなりの人生経験を積んでいるベン」という図がわかりやすく描かれる。やがてふたりはデートにいきつくのだが、間もなくこじれて「もう顔を見たくない」という状態に。だが数年後、オーストラリアで行われる同じ結婚式に出席することになり、ばったり再会してしまう。が、まわりが幸せな雰囲気の中、いつまでも険悪にしているわけにもいかず、ふたりは「カップルのふり」をする。

 その結婚式にはビーの元彼(しかも彼女の両親に気に入られていて、エリートだ)もいて、いっぽう、ベンは「これまでの人生でたっぷり、もててきたであろう男性」だ。そのビーとベンが「カップルのふり」から「相思相愛になっていく」過程というかグラデーションが本当に彩り豊かに描かれていると共に、画面にはオーストラリアの美しい風景、海、空などもしっかりフィーチャーされる。同性愛カップルへのまなざしも温かいし、人々のなかに「幸せになろうというふたりがいるのなら、祝福しよう」という当たり前の心がある。監督・脚本・プロデューサーはウィル・グラック、ビーにはシドニー・スウィーニー、ベンにはグレン・パウエルが扮している。

映画『恋するプリテンダー』

2024年5月10日(金)全国ロードショー

監督:ウィル・グラック
製作:ウィル・グラック、ジョー・ロス、ジェフ・キルシェンバウム
脚本:ウィル・グラック、イラナ・ウォルバート
出演:シドニー・スウィーニー、グレン・パウエル
2023年|アメリカ・オーストラリア|原題:ANYONE BUT YOU|103分
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント

公式サイト
https://www.koipuri-movie.jp/