「千石イエス」という単語を、私は数十年ぶりにきいた。「千石イエス事件」という言葉もあって、そのボスに相当する男性が、数多くの女性と同居していたこともあり、ずいぶん好奇の目で(マスコミ側の男性が持つやっかみ的視点もガッツリ含みつつ)報道されていた記憶もある。けっきょくは「事件」でもなんでもなかったようだが。
その「千石イエス」をボスとしていた団体、「イエスの方舟」は今も健在で、九州を拠点に活動を続けている。かつての若き女性たちは平和に歳を重ねて、共同生活を行い、飲食業にも取り組みつつ、聖書の研究を続けている。この映画は「イエスの方舟」の今に迫ると同時に、千石イエスこと故・千石剛賢の略歴、昭和マスコミの偉ぶりや図々しさがいかんなく発揮された1980年当時の映像などをおりまぜながら、さまざまなメッセージを投げつけてくる。
「イエスの箱舟は、宗教ではない」。これを前提としたとき、見える風景は確実に変わってくる。そしてベテラン信者たちは今も「おっちゃん」こと千石剛賢を深く慕っている。
映画『方舟にのって~イエスの方舟45年目の真実~』
7月6日(土)ポレポレ東中野ほか全国順次公開
監督:佐井大紀
企画・エグゼクティブプロデューサー:大久保竜 チーフプロデューサー:能島一人 プロデューサー:津村有紀 クリエイティブプロデューサー:松木大輔 撮影:小山田宏彰 末永剛 ドローン撮影:宮崎亮 編集:佐井大紀 五十嵐剛輝 MA:的池将 製作:TBSテレビ 配給:KICCORIT 配給協力:Playtime
2024年/日本/69分/ステレオ/16:9
(C)TBS