東北の「神物件」で見つけた新たな人生の形。あたたかな余韻に包まれるエンタテインメント作品『サンセット・サンライズ』

 「世界中の誰もが同じ経験をする」――そんなレアなケースが、パンデミックのときにはあった。あのとき、私たち地球民は確かに新型コロナウィルスの巨大な雲の下に明らかにいた。この映画のストーリーは、世界中がロックダウンに追い込まれた2020年春に始まる。

 舞台は南三陸の小さな町、ここに東京の大企業に勤める青年・晋作がやってきて“4LDK・家賃6万円”という破格の一軒家に住み、日中は大好きな釣り、時にリモートワークを行う。同じ顔ぶれで長年つつがなくやってきたであろう小さな町にとって、大都会・東京からの訪問者など明らかに「異物」。だから目立つし、すぐ噂話の対象になる。だが、それを裏返せば、向こうはこちらに関心があるし、あわよくば親しくなりたいと思っているということでもある。しかもこの晋作、驚くほどのポジティブ思考で、コミュニケーション能力もすこぶる高い。地元民との壁が日に日に薄くなってゆくところが、観ていてとても楽しかった。

 原作は、楡周平の「サンセット・サンライズ」(講談社)。監督は岸善幸が務め、小ネタやギャグを盛り込んだ脚本は宮藤官九郎が担当。2011年の震災にまつわるエピソードの挿入にも細やかな気遣いが感じられた。晋作役に扮するのは菅田将暉、釣り姿も力強く、実にサマになっている。ほか、関野百香役の井上真央(快演!)や関野章男役の中村雅俊も味わい深いし、随所で紹介される料理や酒の数々がまた、とんでもなくおいしそうだ。テンポよい描写のため、140分を超える尺なのにさっぱりとした後味を得られるのもいい。

映画『サンセット・サンライズ』

1月17日(金)全国ロードショー

<キャスト>
菅田将暉
井上真央
竹原ピストル 山本浩司 好井まさお 藤間爽子 茅島みずき 白川和子 ビートきよし 半海一晃 宮崎吐夢 少路勇介 松尾貴史 三宅健 池脇千鶴 小日向文世 / 中村雅俊

<スタッフ>
脚本:宮藤官九郎 監督:岸善幸 原作:楡周平『サンセット・サンライズ』(講談社文庫) 音楽:網守将平 歌唱:青葉市子 製作:石井紹良 神山健一郎 山田邦雄 竹澤浩 角田真敏 渡邊万由美 小林敏之 渡辺章仁 企画・プロデュース:佐藤順子 エグゼクティブプロデューサー:中村優子 杉田浩光 プロデューサー:富田朋子 共同プロデューサー:谷戸豊 撮影:今村圭佑 照明:平山達弥 録音:原川慎平 音響効果:大塚智子 キャスティング:田端利江 山下葉子 美術:露木恵美子 装飾:松尾文子 福岡淳太郎 スタイリスト:伊賀大介 衣装:田口慧 ヘアメイク:新井はるか 助監督:山田卓司 制作担当:宮森隆介 田中智明 編集:岡下慶仁 ラインプロデューサー:塚村悦郎 製作幹事:murmur 制作プロダクション:テレビマンユニオン 配給:ワーナー・ブラザース映画 上映時間139分
(C)楡周平/講談社 (C)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会

公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/sunsetsunrise/