ここにはない場所に連れて行ってくれるのが映画だ。しかもその使用言語になじみがなければないほど“エキゾチック度”が増す。そういった意味では私はこの映画をとても興味深く見入った。“トランスジェンダー”、“LGBTQ+”、“クィア”といった言葉で表現されることも多い作品のようだが、私はトルコ・イスタンブールの風景(猫もしばしば登場する)、哀感のこもった音楽、言葉の響きにこそエキサイトメントを感じた。

物語のベースとなっているのは、“ジョージアに暮らす元教師のリアが、行方不明になった姪のテクラを探す”というパッセージ。テクラはトランスジェンダーで、どうやらイスタンブールにいるらしい。そこでリアはテクラを知っているという青年アチとともに同地に飛ぶ。このアチが物語に深みを与えると同時になかなかのくせものであるように私には感じられたが、さらにリアはエヴリムという弁護士とも出会う。この弁護士はトランスジェンダーの権利のために戦っており、ひょっとしたらテクラのことも知っているのではないかと考えたのだろう。なぜテクラはジョージアから離れたのか、今はどこで何をしているのか。それがゆっくりと、臨場感あふれるイスタンブールの風景と共に描かれていく。
監督・脚本は、前作『ダンサー そして私たちは踊った』が第92回アカデミー賞国際長編映画賞のスウェーデン代表に選出されたレヴァン・アキン。本作も第74回ベルリン国際映画祭でテディ賞(LGBTQ+をテーマにした作品に贈られる)の審査員特別賞を得た。出演はムジア・アラブリ、ルーカス・カンカヴァ、デニズ・ドゥマンリ等。
映画『CROSSING 心の交差点』
2026年1月9日(金)より Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、アップリンク吉祥寺 ほか全国公開
監督・脚本:レヴァン・アキン
出演:ムジア・アラブリ、ルーカス・カンカヴァ、デニズ・ドゥマンリ
2024年/スウェーデン・デンマーク・フランス・トルコ・ジョージア/ジョージア語・トルコ語・英語/106分/カラー/16:9/5.1ch
原題:Crossing 字幕:横井和子 後援:スウェーデン大使館、デンマーク大使館 配給:ミモザフィルムズ
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