女優「百山月花」が挑む初主演作『僕はそれを、青と呼ぼう2020』が11月26日より上演。主演に求められる役割に戸惑いながらも、熱演を誓う!

 シンガーソングライター、女優として活躍している百山月花が、11月26日より上演される舞台『僕はそれを、青と呼ぼう2020』にて、悲願の初主演を担う。しかし、勇んで赴いた稽古場では、主役に求められる役割に苦労の連続だったという。初めての主演への意気込みから、稽古場での戸惑い、それを踏まえての今後の抱負など、インタビューした。

――初主演おめでとうございます。まずは役どころを教えてください。

 ありがとうございます。初めて主演を務めさせていただくことになりました。念願だったので、とても嬉しいです。エルナという名前の、友達思いで正義感のある女の子を演じさせていただきます。双子のように仲のよい友達(コノハ)が誤診で精神病院に入院させられてしまうんです。私は、彼女を救うために、自ら病気を偽って病院に潜り込む、という役です。

――なかなか大変そうな展開ですね。

 そうですね。病院内では何を言っても信じてもらえないし、取り合ってくれないし、入院している患者達には、本当にいろいろな症状の人がいて、とても生々しいお芝居が散りばめられています。劇場に足を運んでくださった方々には、まずはそこに驚かれると思います。私は、そんな患者たちに翻弄されてしまうんです。それぞれの症状による悩みだったり人間関係は、病院の内外関係なくあるはずなので、きっと共感や怒りなどの連続で皆さんは心を素手で掴まれ続けながらの観劇になると思います。

――今までのお芝居とは違いますか?

 全然違いますね。感情を爆発させたり、人外なポジションだったり、はたまた全く喋れない人格だったり、そういう個性や芝居の山場があったりするキャラクターを演じることが多くて、一貫して普通の女の子でいる、っていうTHE ヒロインっていう芝居って、本当に難しいんだなって思いました。というか、たまたま自分が何かを振り切るという“思い切り芝居”みたいなものに頼っていて、よく言えばハマり役、悪くいうとラッキーで苦労してなかったんだなって思いました。

――具体的には?

 例えば、私が今まで頂いてきた役って今回でいうときっと、とても症状が重い患者だったんだと思うんです。いかに症状の重さを表現するか、いかに病院内で目立つか、いかに観客と主演にインパクトを与えるか……。そういう役作りをして主張だらけだったんです。遊び甲斐があるし楽しい。でも主人公、ヒロインって、物語そのものを体現している存在だから自己主張じゃなくて物語そのものにならないといけないんです。そこには百山月花自身の感情や主張は不要で、教科書の模範解答じゃないといけなくて、エルナ自身の素直な息遣いだけが求められるんですよね。

……そして、与える芝居ではなく、初めて受け取る芝居を求められるんだ、と気付いて、かなり稽古では模索しました。

――今回は受けメインの芝居、と。

 はい、そうなんです。しかも、私の発するセリフ一つ取っても、動き方や演出を取っても、幾通りもの受け取り方ができるものになっているんです。どう受け取るかは観に来てくださる方々に委ねたいとは思いますけど、私の中では一つの解を持って演じたいので、こういうつもりで言っている、というように細部まで作り込んだ上で、演じるようにしているんです。あ、だから2回以上観て欲しいってとても月並みですけど、絶対に、本当に絶対に、2回目以降は「わぁ!よく出来てる!すごい!!」って思って貰えるはずなんです。

――確かにいつもと違いますね。

 しかも、今回は主演を除いて2チーム制なので、同じセリフ、同じ演出でも、各チームで共演相手の表現(ニュアンス)によってエルナの心情が微妙に変わってきます。だから、芝居を受けるにしても、投げられる球によって、表現が変わる訳ですけど、私は物語だから大きく変えすぎてもいけない、というところは苦戦しましたね。

 本当に、“主人公に求められる芝居”があるんだなって、演じてみて気が付きました。

――患者役だったら……と思う事はありますか。

 ありますよ! この症状の役だったらこういう芝居入れるなーとか、この人のこの目の使い方いいなー、私がそれでやってみたかったなー! って思うことはあります。でもセリフを覚えれば覚える程、稽古を積めば積むほど、エルナの役は誰にも渡したくないし、やっぱり他の役もその人じゃないと演じられない物になっていきますね。

 そう考えると演じるというより、どんどんエルナという人間が具体化してきて実在している人物のように思えてきて、その人になりきる。そして更にその人物が一人歩きするようになって彼女の人生をドキュメンタリー上演する。というイメージになるのかなって感じます。

――今回の初主演は、なかなか難産のようですね。

 ホントに! この作品の発起時、主役をやりたいと伝えたら、「百山には無理だよ」って言われたんです。お芝居には自信があったし、演出家の要求には応えられると思っていたんです。けど、いままで私がしてきた芝居というのは、主役や物語に色を添えるもので、レパートリーや幅があっていいものばかりでした。だから今回、稽古が始まってからずっとヒロインに苦戦していましたが、ようやく幕が上がります。何をエルナから掴んだか、目撃しに来て欲しいです。
 
 本作を通じて皮がベロンベロンに剥けました。稽古中も何度も脱皮しました!

――ところで、今回も百山さんの楽曲が使われるそうですね。

 おかげさまで! 作品のイメージを楽曲に封じ込めましたので、舞台と一緒に楽曲も楽しんで欲しいです! 来年2月発売のニューアルバムにも収録予定です!

――今回、12月の生誕ライブはお休みして、来年2月を百山月花デビュー月間として、ニューアルバム、ワンマンを実施するそうですね。

 はい。本来は12月に開催・発売したい気持ちはありましたけど、舞台のせいで音楽が疎かになったとか、逆も然りで、どちらかをどちらかのせいにしたくなかったんです。レコーディング期間にもっと役と向き合えたんじゃないか、稽古何回か休んだら収録曲一曲増やせたんじゃないか、そんな風に自分の頑張っている活動を恨みたくなかったので、ちょうど2月が百山月花のデビュー月ですし、そこに合わせてどちらも本気で臨むことにしました!
 期待していて下さい、本気をお届けします!

――さて、ここからは、ファンから寄せられた質問への回答をお願いします。

★将来の展望は?
 わー、すごいざっくりだ! 今のタスクの規模やキャパを大きくする!こと!かな!

★もう一つステップアップするならどうなりたい?
 エルナに出会う前までの与える芝居で感じていた役作りの自由度を、ヒロイン芝居でも感じられる様になって、お芝居の幅を拡げたい。それが曲にも反映できたらもっと嬉しい!

★稽古中の思い出は?
 シングルキャスト4人でよく同じ飲み物を揃えて買ったり、新しい諺を作ったりして遊んでいました。変なところにツボが入って爆笑しているのに、他のキャストに全く伝わらなくて、むしろガン無視されて(笑)。本当に私たち疲れてるんだね、今日は早く寝よう……って肩を抱き合ったりもしました(笑)。全員仲良しですけどね、もちろん(笑)。

★2020年を漢字で表したら?
 索

★百山月花を知らない人になんて紹介したらいい?
 え? 知らないの?! 多分その内くるから覚えといたらマウント取れるよ! 面白い女! とりあえずググってみ。

★街で見かけたらどこまで大丈夫?
 声掛け、握手、写真、次会う約束(笑)!

★またバンドライブやる予定ありますか?
 やりたいです! 全然めちゃくちゃやりたいです!

★直近で聴いたCDは?
 Panic! at the Disco/A Fever You Can’t Sweat Out

★好きな寿司ネタ
 つぶ貝(お塩で食べます)。

★「愛」とは?
 悲しくないのに泣くこと
 死にたくないって思うこと
 自分の心に助手席が出来ること

――終わり――

舞台『僕はそれを、青と呼ぼう2020』

2020年11月26日(木)~11月30日(月)まで、上野ストアハウスにて上演

<出演>
百山月花、松村芽久未、日和ゆず、有栖川姫子
【TEAM瑠璃】新川千華、桜月リオナ、山中ゆうこ、土志田菜々美、大塚結生
【TEAM翡翠】中井杏奈、猪谷茉由、遠藤しずか、えなえ、一本鎗希華

<チケット>(全席指定席)
・特典付きプレミアムS席(前2列限定全キャストサインつきパンフレット付き) 前売り券8000円/当日券8500円
・A席 前売り券5000円/当日券5500円

<タイムテーブル>
11月26日(木)14時~【瑠璃】/19時~【翡翠】
   27日(金)14時~【翡翠】/19時~【瑠璃】
   28日(土)13時~【瑠璃】/18時~【翡翠】
   29日(日)13時~【翡翠】/18時~【瑠璃】
   30日(月)14時~【瑠璃】/18時~【翡翠】

<あらすじ>
「あなたは正常だって必ず証明するから」
大切な親友が“誤診”により精神病院に強制入院させられた。親友を助け出すため、自らを病気であると偽り精神病院に入った主人公だったが……。そこに入院している患者達の虚言や人格の分裂、幻覚や幻聴による記憶の齟齬は、次第に主人公を混乱へと導いていくのだった。何が正しくて何が本当か。一体誰を、何を信じればいいのか。では、果たして自分は信じられるのか。“普通”の概念は通用しない世界が見せる狂気と混沌。自分は“正常”だと思い込んでいた主人公の結末とは。皆が「青」色だと言うものはあなたにとっても「青」色ですか?

<スタッフ>
【脚本・演出】高瀬友規奈
【舞台監督】逸見輝羊・今宮稜正(STAGE COMPANY)
【照明】朝日一真
【音響】奥村典洋(ALLEX)
【音楽】瀬奈ヒロキ
【舞台美術】古謝里沙
【デザイナー】北田岳史
【カメラマン】中塚健仁
【DVD 撮影】観劇三昧
【票券・制作協力】清水瑞希(企画演劇集団ボクラ団義)
【当日運営】小林博明(エムキチビート)
【プロデューサー】若宮亮(エムキチビート)
【企画・製作】E-Stage Topia

公式サイト https://e-stagetopia.com
百山月花 https://twitter.com/momoyamatsukika