映画『偽りのないhappy end』が待望の公開。初主演の「鳴海唯」は「年上の役に、髪を伸ばして形から入りました」

 2011年の『ヒミズ』から10年間、園子温監督のほとんどの作品の助監督を務め、園監督に師事してきた松尾大輔が、満を持して、長編映画監督デビュー。田舎で一人で?暮らしていた妹が、東京で自分と一緒に住み始めた途端に行方不明になってしまったエイミと、同じく妹が行方不明のヒヨリが、共に犯人を捜すミステリーをベースに、姉二人の心の揺れを丁寧に描く。

 主演は、NHK朝の連続テレビ小説 「なつぞら」でドラマデビューし、CMを中心に活躍中の鳴海唯と、マドンナのバックダンサーとしてワールドツアーに約1年半同行し、舞台Rock Opera「R&J」ではヒロイン役を演じた仲万美

 エイミの妹・ユウ役を、『由宇子の天秤』で第43回ヨコハマ映画祭2021年日本映画個人賞最優秀新人賞を受賞した河合優実がミステリアスに演じる他、エイミが滋賀の湖で出会う少女・アカリ役に「青のSP~学校内警察・嶋田隆平~」の田畑志真、エイミの婚約者・タカシ役に『横須賀綺譚』の小林竜樹、風俗店の古株のボーイシンジ役に『SR サイタマノラッパー』シリーズの奥野瑛太、向井刑事役に『AWAKE』の川島潤哉、ヒヨリの妹が家庭教師をやっていた少女・アオイ役に本作が映画デビューとなる三島あよな、ユウの友達・マイ役に、「きれいのくに」の見上愛と、今後の更なる活躍が期待される面々が集結! アオイの母・ヨシエ役でベテランの馬渕英里何、風俗店の店長役で『ケンとカズ』のカトウシンスケが脇を固める。

 12月18日(土)に、それぞれ妹が行方不明になった姉役の、W主演の鳴海唯と仲万美が登壇し、鳴海は実際より6歳上の役を演じるためにした役作り、仲は初めて胸ぐらをつかんだ感想などを語った。
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 公開を迎えた想いを聞かれたエイミ役の鳴海唯は、「公開2日目を迎えまして、本当にたくさんの方に本日も来てもらえて感無量です。2年前に撮影して、コロナ禍で大変なこともあったんですけれど、ようやく皆様の元にお届けできるのが本当に嬉しくてたまりません!」と挨拶。

 ヒヨリ役の仲万美は、「昨日は『今日初日なんだ』というふわっとした感情だったんですけれど、今日やっと実感できたというか、『昨日から公開しているんだ!』みたいな達成感を感じています。」、松尾大輔監督は「映画は見てもらって完成なので、今日を迎えられたことが大変嬉しいです。」と感無量の様子。

 本作は、消えた二人の少女を探す、二人の姉の話。二人の姉役にこの二人をキャスティングにした理由を聞かれた松尾監督は、「今まで仕事したことがない方と仕事をしたいというのがあって、いろいろな方の映像や資料を見た時に、鳴海さんの短いお芝居を見て、この役に合うかなと思い、キャスティングさせていただきました。いろいろなものを感じてくれるんじゃないかというのが一番の決め手です。仲さんはもともとダンスをやられていて、僕も面白い方を使いたいというのがありました。映像を見させていただいた時に、内に秘めた何かを持っていらっしゃるのかなと思いました。この役は、内に秘めたものがないと成り立たない役なので、それをぶちまけていただきたいと思ってキャスティングしました。」と回答。

 脚本を読んだ感想を聞かれ、鳴海は「ここまで人の心情描写が丁寧に描かれている作品はなかなかないのではないかとびっくりしました。」と答え、仲が「すごく心情が書かれているんですけれど、それを自分が表現できるのかという不安はすごくありました。我ら普段すごく明るいので、『うちら、できるかな?』と話したけれど、できたね」!と鳴海に振ると、鳴海も「できました!」と二人で笑いながら自信を見せた。

 鳴海は本作が初主演。オーディションでなくオファーが来た時の想いを聞かれ、「オファーをいただいた時はお芝居を始めて1年経っていない時で、自分のお芝居をまだ評価されたことがない時だったので、私でいいんだろうかと不安だったんですけれど、オファーをしてくださっているからには監督の想いに応えたいという気持ちがすごく強くあったので、全力で頑張ろうという気持ちになりました。」と述懐。

 鳴海の役は、実際の年齢より6歳上の役だった。「当時21歳の時に27歳の女性を演じたので、見た目から入ろうと思いまして、まず髪の毛を伸ばしました。エイミはお姉さんの役なので、落ち着いてしゃべってみようだとか、携帯を持っていない役柄なので、撮影期間は実際に携帯を持たずに過ごしてみたり、外部的なものからやっていきました」と裏話を披露した。

 仲はマドンナのバックダンサーとしてワールドツアーに約1年半同行した実績のあるダンサー。ダンスのシーンがない役のオファーが来た時の想いを聞かれ、「ダンスをずっとやっていて、ダンスを一旦ちょっとやめてお芝居の仕事を始めたんです。でも映画だったり舞台だったりをやる時にダンスは付き物で、自分の武器でもあるんです。今回初めてダンスがないお芝居をやるということで、今まで『ダンスがないのもやってみたいな』と思っていたのが、『ダンスがないけど大丈夫なのかな』という不安はいっぱいありました。挑戦というか、気合も入りましたし、プレッシャーにもなりましたし、すごくいい経験をさせていただきました。」と達成感を感じている様子。

 仲が演じたヒヨリは、胸ぐらをつかむシーンもある。「お芝居でも実際でも今まで喧嘩をしたことがないので、まず『どうやって胸ぐらをつかむんですか?』というところから教えてもらいました。『ひねるんだよ。』『位置は?』と新鮮でした。役柄も自分とは正反対なので、全てにおいて新鮮というか、楽しかったです。」と話した。

 これからご覧になる方に見所を聞かれた鳴海と仲は、それぞれ、「たくさんの素敵な役者さんたちが出てくるので、視点を変えて、素敵な役者さんたちのお芝居も楽しんでいただければと思います。」、「いろんな女の子たちが出てきて、いろんな女の子たちの事件があって、きっと1回(の鑑賞)だけでは足りないです。今日だけでなく、また来ていただけたら、またより面白いところが見えると思います。ぜひ楽しんでください。」とアピールした。

 最後に、松尾監督より、「僕が自由にやってもいい枠組みでやっているので、映画の普通の作り方とは違う挑戦をやっています。『普通こう見せた方がわかりやすいだろうな』というところを、僕が思う見せ方でやっていて、僕がやりたいことを映した映画です。毎日上映後サイン会もしますので、感想を言っていただけたら嬉しいです。」とメッセージが送られ、舞台挨拶は終了した。

映画『偽りのhappy end』

アップリンク吉祥寺にて公開中 全国順次公開

【あらすじ】
中学を卒業してすぐに地元滋賀を離れ、ずっと東京に住むエイミ(鳴海唯)は、母親が亡くなった後も一人で滋賀の田舎で暮らしている妹・ユウ(河合優実)に、「東京で新しい人生を始めない?」と誘う。はじめは拒んでいたユウだがなぜか急に東京に来ることを受け入れ、一緒に暮らし始めるが、引っ越してきて早々、ユウは行方不明に…。

そんな折、エイミは同じく妹が行方不明になっているヒヨリ(仲万美)と出会う。エイミに、地元の琵琶湖で若い女性の遺体が見つかったと警察から連絡がくるが、見つかった遺体はユウではなく、なぜかヒヨリの妹だった。再び巡り合ったエイミとヒヨリは、共に犯人を捜すことになるが思わぬ方向へ…。

鳴海唯 仲万美 
河合優実  田畑志真 小林竜樹 奥野瑛太 川島潤哉 三島あよな 見上愛 メドウズ舞良 藤井千帆 野村啓介 橋本一郎 谷風作 永井ちひろ 鈴木まりこ 古賀勇希 安田博紀 原知也 宮倉佳也 笹川椛音 白石優愛 土屋直子 馬渕英里何 カトウシンスケ

監督・脚本:松尾大輔
撮影:川野由加里 照明:赤塚洋介 録音:阿部茂 衣裳:田口慧 ヘアメイク:佐々木弥生 美術:松塚隆史 装飾:徳田あゆみ 制作担当:興津香織 助監督:小泉宗仁 監督助手:石塚礼/安藤梓 監督補助:廣野博友 特別協力:匠司翔 キャスティング:杉山麻衣 バレエ振付・指導:吉野菜々子 音楽プロデューサー:菊地智敦 音楽:古屋沙樹 編集:和田剛 音響効果:伊藤進一 配給・宣伝:アルミ―ド
2020年/日本/カラー/16:9/5.1CH/97分
(C)2020 daisuke matsuo

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