豊原功補、小泉今日子、外山文治監督らで立ち上げた映画制作会社「新世界合同会社」の第1回目のプロデュース作品『ソワレ』が8月28日(金)より、全国公開となる。
本作は、老老介護の厳しい現実を見つめた短編『此の岸のこと』(10)や長編デビュー作「燦燦―さんさん―」(13)で海外からの絶賛を受け、センシティブな感性で唯一無二の世界観を作り出す新鋭・外山文治がオリジナル脚本で挑む長編映画。
主人公・翔太を演じるのは類稀なる吸引力で日本映画の台風の目になりつつある実力派俳優・村上虹郎と、100人以上のオーディションから大抜擢された最注目の新星・芋生悠(いもうはるか)の2人をW主演に迎え、若い男女の切ない逃避行を映し出し、各界から注目を浴びている。
──俳優を目指して上京するも結果が出ず、オレオレ詐欺に加担して食い扶持を稼いでいる翔太(村上虹郎)。ある夏の日、故郷・和歌山の海辺にある高齢者施設で演劇を教えることになった彼は、そこで働くタカラ(芋生悠)と出会う。そしてこの出会いが二人の運命を変えることになっていく。タカラが刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けている姿を目撃した翔太は咄嗟に止めに入るが、気づいた瞬間、それを庇うタカラの手は血に染まっていたー。逃げ続ける二人の運命はどうなっていくのか……傷つき、寄り添いあう二人が出した結論とは?
ここでは、7月29日(水)に都内で開催された完成報告会の模様を紹介したい。主演を務めた村上虹郎と芋生悠、オリジナル脚本も手掛けた新鋭・外山文治監督、豊原功補プロデューサーが出席し、完成した映画への思いを語った。
村上は、本作で演じた翔太という主人公の役作りについて「作ろうとしても作りこめず、理解しようとしても肩透かしを食らう感じで、悩みに悩んで現場に行くしかなかったし、行かないとわからなかった」とその難しさを吐露する。
一方、父親から暴力を受け、トラウマを背負うタカラを演じた芋生は「脚本を読んだ段階で、かなり覚悟を決めないといけないなと思いました」と、ふり返り「本当に強い子で、すごく美しい子だと思いました。そんな子でも、ひとりでは戦えないので、そばに寄り添って一緒に歩めたらいいなと思いました」と明かす。
外山監督は主演の2人を絶賛。村上さんについて「現在の若者を重ねるには、彼しかいないという確信の下で選んだ」と語り、オーディションで抜擢した芋生さんについても「出会った時に、タカラという役には彼女が必要だと思った。ベストマッチだったんです。素敵な2人と巡り合えました。」と力強く語った。
豊原プロデューサーは「新世界合同会社」の設立、そして本作の制作について、外山監督の短編『此の岸のこと』を観て感銘を受け、その外山監督から「手伝ってほしい」と声を掛けられたことがきっかけだと語り「どうせやるなら本腰を入れて、テキトーにやっていると思われたくなかったので、会社を作って乗り込もうと思った」とその強い思いを明かす。
撮影現場には豊原さんと小泉さんも駆けつけ、プロデューサーとして俳優、スタッフのために尽力していたとのこと。村上さんは、早朝撮影の際のエピソードとして「朝、ホテルの玄関に行くと、小泉さんが車をつけて、助手席を開けて『おはようございます!』って専用ドライバー状態で待っていてくださいました(笑)」とあの小泉今日子を“アシ”として使っていたと告白!
豊原プロデューサーは「予算が潤沢と言える作品ではないので、我々も働かないと(笑)」と照れくさそうに語ったが、芋生さんも「大先輩で、“天下の”と言ってもいいお2人が、汗水たらして動いてくださって、私たちがのびのびとやれる環境を作ってくださいました。寝る時間もなかったと思うんですけど、それでも生き生きとされていて、それが活力になりました」と感謝の気持ちを口にしていた。
最後に芋生さんは、本作について「いまだからこそ見てほしい映画になっています」と語り、ソワレというタイトルが“夜明け前”という意味を持つことに触れ「真っ暗な同じ景色ばかり続いて、この夜は終わらないんじゃないかと思うことがあるけど、これを見たら『朝を迎えてやるぞ!』と思える、そんな作品になっていて、少しの希望を持ち帰っていただくことができると思います」と、まさに映画に関わったすべてのキャスト、スタッフの思いを代弁するかのような力強いメッセージで映画をアピール!舞台挨拶は幕を閉じた。
映画『ソワレ』
8月28日より全国公開
<あらすじ>
ふたりで逃げた。幸せだった。
俳優を目指して上京するも結果が出ず、今ではオレオレ詐欺に加担して食い扶持を稼いでいる翔太。ある夏の日、故郷・和歌山の海辺にある高齢者施設で演劇を教えることになった翔太は、そこで働くタカラと出会う。数日後、祭りに誘うためにタカラの家を訪れた翔太は、刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けるタカラを目撃する。咄嗟に止めに入る翔太。それを庇うタカラの手が血に染まる。逃げ場のない現実に絶望し佇むタカラを見つめる翔太は、やがてその手を取って夏のざわめきの中に駆け出していく。こうして、二人の「かけおち」とも呼べる逃避行の旅が始まった──。
村上虹郎 芋生 悠
岡部たかし 康 すおん 塚原大助 花王おさむ 田川可奈美
江口のりこ 石橋けい 山本浩司
監督・脚本 外山文治
プロデューサー:豊原功補 共同プロデューサー:前田和紀 アソシエイトプロデューサー:小泉今日子 アシスタントプロデューサー:水野優子 ラインプロデューサー:金森保 音楽:朝岡さやか 音楽監督:亀井登志夫 撮影:池田直矢 照明:舘野秀樹 音響:弥栄裕樹 美術監督:山下修侍 装飾:中山まこと 衣装:宮本茉莉 ヘアメイク:河本花葉 編集:加藤ひとみ スチール:敷地沙織 助監督:石川浩之 制作担当:柴野淳
制作プロダクション:新世界合同会社 制作協力:キリシマ1945 製作:新世界、ベンチャーバンクエンターテインメント、東京テアトル、ハピネット、ステラワークス、カラーバード 後援:和歌山県、(公社)和歌山県観光連盟 協力:御坊日高映画プロジェクト、和歌山市 配給・宣伝:東京テアトル
2020年/日本/111分/5.1ch/シネスコ/カラー/デジタル/PG12+
(C)2020ソワレフィルムパートナーズ