呂布カルマも絶大な存在感を放つ、「入れ子構造」の力作『宇宙人の画家』

 猛烈なスピード感を覚えつつ、いやがおうにも画面に引き付けられていく感じだ。

 カナザワ映画祭主催者の小野寺生哉が「一般公開されることに安心している」と評する、いわくつきの作品『宇宙人の画家』が7月2日から新宿K’s Cinema、アップリンク吉祥寺にてロードショーされる。どこから書き始めてよいものか迷うぐらい新鮮にして興味深い作品で、もう一切の文字なしに「とにかく観て、感じてください。あなたの感じたことが何より素晴らしいのです」と締めくくりたいほどである。

 監督は1999年生まれの気鋭、京都大学在学中の保谷聖耀。脚本は小野寺生哉との共同ペンネーム「京阪一二三」名義になっている。舞台となるのは裏日本にあるK市。ここでは違法薬物の製造、臓器売買、偽札の輸入や流通が行われている。鍵を握るのは蕎麦屋で黙々と働く青年マルヤマ。ある日、彼は老人から達磨光現器を見せられる。これは大東亜戦争中に満州国で製造された発光装置で、あまりにも強いパワーによる「悪人を滅ぼす心理の光」を放つ。それを奪い取るために二人組が現れて……。

 いつしか画面はモノクロとなり過去へ。しかしこの過去は現在とメビウスの輪のようにつながっていて、謎めいたグルーヴを放ちつつ、エンディングへと向かう。そもそも、「宇宙人の画家」って何なんだ? それについては解き明かされるのか? 高名なラッパー、呂布カルマの存在感も光りまくっている。

映画『宇宙人の画家』

2022年7月2日(土)新宿K’s cinema、アップリンク吉祥寺にてロードショー! 以降全国順次公開
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