あの大ヒット映画『カメラを止めるな!』を、なんとフランスで奥行たっぷりにリメイク

 2018年に大ヒットした日本映画『カメラを止めるな!』(観客動員数220万人、興行収入31億円を突破したという)が、フランスでリメイクされた。題して『キャメラを止めるな!』。ゴールデン・グローブ賞と英国アカデミー賞の作品賞に輝くミシェル・アザナヴィシウスが監督、『真夜中のピアニスト』でセザール賞にノミネートされたロマン・デュリスが主人公を演じ、『カメラを止めるな!』でも圧倒的な存在感を発揮していた竹原芳子の登場も嬉しい。凝った劇伴は、アレクサンドル・デスプラが担当した。

 日本の味が強くしみこんだ『カメラを止めるな!』がどうフランス調に料理されていくのか、それだけでもわくわくしてくるが、オリジナル版への敬意(というか親しみ)は溢れんばかりで、物語の展開も実にスムーズ。30分1カットによるゾンビ映画の場面をまず見せるところも踏襲しつつ、第1部に相当するその30分が過ぎてからの第2部と第3部では、細かいギャグも挟みつつ、いっそう「フランス版ならでは」の展開が図られてゆく。

 日本製のストーリーに戸惑うフランスの役者の表情や発言、「とにかく原作に忠実に」を主張する日本側のプロデューサー(竹原芳子が演じる)、つい政治的にも人種的にも刺激的な発言を漏らしてしまう主人公。各人の戸惑いやいらだちを、きれいごとでコーティングしなかったところも潔い。笑わずにはいられない数々の描写だけではなく、ふと考えさせられる瞬間が多々あるのも作品に奥行きを与える。7月15日から全国公開。

映画『キャメラを止めるな!』

7月15日(金)全国公開

出演:ロマン・デュリス、ベレニス・ベジョ、グレゴリー・ガドゥボワ、フィネガン・オールドフィールド、マチルダ・ルッツ、竹原芳子

監督・脚本:ミシェル・アザナヴィシウス 音楽:アレクサンドル・デスプラ 衣装:ヴィルジニー・モンテル 提供:ギャガ、ENBU ゼミナール 配給:ギャガ
シネスコ/5.1chデジタル/112分/字幕翻訳:松崎広幸
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