ファッションには不案内な私だが、それでも「マリメッコ」については大体「こんなものだろう」という、ざっくりしたイメージはあった。それが北欧を代表するブランド名であること、その大部分をデザインしたのがマイヤ・イソラという人物であることを、不勉強にしてこの映画で初めて知った。そしてひとえに「マリメッコ」といっても実に多彩なデザインがあり、マイヤは驚くべき多作家にして長距離ランナーであったことも学んだ（1949年から87年までに500以上のデザインを提供）。さらに画家としても数々の作品を残している。まさにマルチな才人、それがマイヤ・イソラである。
とことん無知なので、「はじめまして。拝見させていただきます」という気持ちで接したのだが、それも始まって十数分ぐらいまでのこと。フィンランド語の暖かみのある響きに和み、生前のマイヤの飾らなさ、さらにマリメッコ創業者アルミ・ラティアとのエピソード等で、こちらをひきつけていく。マリメッコの熱心なファン、北欧やファッションに強い関心を持つ方なら、さらにさらに、もっと奥深い楽しみ方ができるに違いない。
個人的にはジャクリーン・ケネディとのエピソード、ポルトガルの歌謡曲“ファド”を聴いた話、トーベ・ヤンソンとの交流といったパッセージにも惹かれた。マイヤは恋多き女性だったようだが、愛娘も背筋がしゃきっとしていて、口調もはっきりしていて、かっこいい。監督・脚本・撮影はレーナ・キルペライネン。
映画『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』
3月3日（金）より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー！
＜キャスト＞
マイヤ・イソラ、クリスティーナ・イソラ、エンマ・イソラ
＜声の出演＞
パイヴィ・ヤルヴィネン（マイヤ・イソラ）、マルギット・ウェステッルンド（アルミ・ラティア）
＜スタッフ＞
監督・脚本・撮影：レーナ・キルペライネン
音響：ピエタリ・コスキネン
編集：リーッタ・ポイクセルカ
アニメーション：レーッタ・ネイッターンマキ、アンニカ・ダールステーン
音楽：サンナ・サルメンカッリオ
製作：メルヤ・リトラ
共同製作：エリナ・ケウィッツ
後援：フィンランド大使館
配給：シンカ + kinologue
2021年／フィンランド・ドイツ／フィンランド語／97分／カラー・モノクロ／ビスタ／5.1ch／原題：Maija Isola 英題：Maija Isola Master of Colour and Form／字幕翻訳：渡邊一治 字幕協力：坂根シルック
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