2024年に韓国で5年ぶりに芸術・独立映画の歴代ヒット記録を更新。韓国の大ベテラン女優の共演。『最後のピクニック』

 8頭身は確実にありそうな美男美女が出てくる都会的でスタイリッシュなラブストーリーか、やはり8頭身はあるであろうかっこいい男が長い手足をふんだんに使って演じるハードボイルドなアクション……それが韓国映画のトレンドなのだろうと勝手に思っていたので、この映画にはいささか驚き、なんともいえないあたたかな気持ちになった。世界市場を意識したK-POPではなく、楽曲でいうと「釜山港へ帰れ」、歌手でいうとチョー・ヨンピルなどの世界が似合いそうな「韓国」に出会える作品だ。

 『最後のピクニック』という邦題にある通り、主人公となるのは、人生の総決算に入ろうとしているふたりの女性。ウンシムは“宝島”と呼ばれる田舎町(といっていいだろう)南海の出身だが、非常に長く大都会のソウルで暮らしていた。が、このたび60年ぶりに帰郷、親友のグムスンのもとに住むことになった。

 故郷ではテホという男性も健在だった。少年の頃のテホは少女の頃のウンシムに恋をしていた。見かけこそ互いに老人となっても、往時の面影はどこかにあるもので、「今現在」のテホとウンシムの関係はなんとなく甘酸っぱい。カラオケのシーン、飲み会のシーンなど、いかにも賑やかな飲み会という感じで見ていてほほえましくなるが、物語が進むにつれ、ウンシムが決して南海を離れたかったわけではなかったこと、長年戻れない理由があったこと、そしてグムスンとの微妙な関係が描き出される。が、ウンシムもグムスンも人生の残り時間はわずかだ。これからの時をどうピースフルに過ごすか? ウンシムもグムスンは、その共通の課題に向き合ってゆく。人生100年時代の折り返し点を過ぎた50歳以上の方には、とくに染みる一作なのではないかと思う。

 ウンシムにはナ・ムニ、グムスンにはキム・ヨンオクが扮し、監督はキム・ヨンギュが務める。

映画『最後のピクニック』

9月12(金) 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国ロードショー

<キャスト/スタッフ>
出演:ナ・ムニ、キム・ヨンオク、パク・クニョン
監督:キム・ヨンギュン
オリジナル・サウンドトラック:イム・ヨンウン「Grain of Sand」
2024年/韓国/114分/ビスタ/5.1ch/字幕翻訳:根本理恵/G
配給:ショウゲート
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公式サイト
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