香港の「現在」を体感できる、ロマンティックでスタイリッシュな二作品を上映。「新世代香港映画特集2023」

 5月19日から〈新世代香港映画特集2023〉と題して、注目の二作品『私のプリンス・エドワード』と『縁路はるばる』が新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショーされる。

 香港の若手監督、ノリス・ウォンにとって初の長編作品となる『私のプリンス・エドワード』は、香港の繁華街プリンス・エドワード地区の、とあるウェディングショップで働く女性を主人公にした物語。ウェディングフォト専門店のオーナーである彼氏との交際も順調、ついにプロポーズされてさあ結婚へ――という段階で、黄色信号がともる。なんと彼女は10年前に中国大陸の男性と偽装結婚をして、それがまだ法的に続いていることが分かったのだ。

 離婚に向かうためにふたたびその男性と会う女性、不審な動きをする女性を見て何かをかぎつける彼氏。20世紀の映画ならそこで修羅場が起こりそうなものだが、本作はあくまでもクールでピースフルだ。中国大陸と香港の関係、経済格差にも思いをはせながら、物語は深く進行していく。「亀」がアクセントになっているところも見逃さないでほしい。主演は2000年代初頭に「香港のモーニング娘。」と呼ばれたアイドルグループ“Cookies”で話題を集めた歌手・役者のステフィー・タン。彼女はテーマソングも担当している。

 アモス・ウィー監督脚本の『縁路はるばる』は、IT企業に勤めるオタク風の男性が主人公。いわば、突然、彼にモテキがやってきて、5人の魅力的な女性打ち解けていく。が、不思議なことに、彼女たちはみな、異なる僻地に暮らしていた。一種のロード・ムービーとしても捉えることができるし、われわれにとっては香港ヴァーチャル観光のよきガイド役にもなる。香港人である主人公にとっても、この「ローカル探訪」は刺激的だったらしく、彼自身も香港の新たな魅力、加えて自分自身の潜在能力すら発見していく。そんなユニークで深みのある作品だ。『私のプリンス・エドワード』にも出ていたカーキ・サムが主人公を演じている。

★特集『新世代香港映画特集2023』

『私のプリンス・エドワード』
『縁路はるばる』

5月19日より新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

『私のプリンス・エドワード』
(C)2019 MY PRINCE EDWARD PRODUCTION LIMITED. All Rights Reserved.

『縁路はるばる』
(C)2021 DOT 2 DOT CREATION LIMITED. All Rights Reserved.

公式サイト
https://enro.myprince.lespros.co.jp/#