「倉悠貴」「芋生悠」がW主演。世の中になじめない二人の、心温まる物語『こいびとのみつけかた』

　2021年に公開された『まともじゃないのは君も一緒』の監督・前田弘二と脚本・高田亮が再び組んで、〈おかしな二人の物語〉第二弾を完成させた。今回はコンビニで働く女性・園子と、植木屋で働く男性・トワの物語。トワは人類の滅亡や世界平和について考えることに頭脳のほとんどを使っていて、恋らしきものをせずに大人になってしまった。のだが、園子のことが気になってしょうがなく、彼女はどんなひとなのか勝手に想像してはその「想像成果」を植木屋の仲間に述べている。が、独自のセンスの持ち主だったことが幸いしたのか、しだいに二人は親しくなり-……というか、世の中になじめない二人が、二人の間でしか成立不可能であろう摩訶不思議な共感世界を少しずつ構築してゆく。園子は音楽や美術にも取り組んでいて、その、あまりにも独特な世界観もまた、トワの心を打った。

　どう考えてもうまくいきそうな二人だというのに、その根幹を揺るがすような事実がトワの前に突き付けられる。昭和の映画ならこのモチーフだけでエンディングまで引っ張ったかもしれないほどのパートだが、もちろん今は2023年なので、ヴァリエーション豊かに、軽やかに、物語は大団円を迎える。トワには倉悠貴、園子には芋生悠という、進境著しい気鋭が扮しており、画面から清新な香りが漂ってくるかのようだった。共演は成田凌、宇野祥平、川瀬陽太など。