法廷ミステリー小説が映画化。3人の過去と現在が交錯する「どんでん返し」連続の一作『法廷遊戯』

 作家にして弁護士でもある五十嵐律人・原作の法廷ミステリー小説(第62回メフィスト賞を受賞)が、映画化された。個人的には「えっ、そんな考えがあるのか」、「そんな時間への捉え方があるのか」、「加害/被害への視点が、こんなにも立場ひとつで変わるのか」等、驚かされる瞬間が続出で、同時に、(疑似だとしても)弁護士の頭の中を覗いているような気分にもなってきた。

 当初、物語の中心に位置するのは弁護士志望のロースクール生である久我清義(永瀬廉)、幼馴染でやはり同校で法律を学ぶ織本美鈴(杉咲花)、同校で「無辜(むこ)ゲーム」と呼ばれる模擬裁判をつかさどる天才肌の結城馨(北村匠海)。時がたって清義は弁護士となったが、彼のもとに馨から呼び出しがかかる。なんだろうと駆けつけていくと、彼の目に入ったのは血のついたナイフを持つ美鈴、明らかに刺されたのであろう馨である。

 そこからの展開は「どんでん返しがまたどんでん返って」的なものであり、そこに「清義、美鈴、馨の過去」が絶妙にからんでくる。とくに美鈴のキャラクターが持つ「複雑な濁りっぷり」は物語の重要なエキスに違いなく、この役柄をスクリームやシャウトも交えながら演じきった杉咲花は称賛に値する。監督は深川栄洋、脚本は松田沙也。11月10日から全国公開。

●映画『法廷遊戯』

大ヒット上映中

出演:永瀬廉 杉咲花 北村匠海 / 柄本明 生瀬勝久 / 筒井道隆 大森南朋
原作:五十嵐律人『法廷遊戯』(講談社文庫)
監督:深川栄洋
脚本:松田沙也
プロデューサー:橋本恵一、本郷達也
制作:MMJ
製作幹事:東映
配給:東映
(C)五十嵐律人/講談社 (C)2023「法廷遊戯」製作委員会

公式サイト
https://houteiyugi-movie.jp/index.html