映画『シンデレラガール』、監督の分身であるマネージャー役「辻千恵」オフィシャルインタビューが解禁

 緒方貴臣監督(『子宮に沈める』、『飢えたライオン』)が、伊礼姫奈(「推しが武道館いってくれたら死ぬ」)、筒井真理子(『淵に立つ』、『よこがお』、『波紋』)らを迎え、「義足は障がいの象徴」とネガティブに捉えていた主人公の義足のモデルやそのマネージャーが、ポジティブに捉えられるようになるまでの心の変化を描く『シンデレラガール』。

 本作に出演・参加した俳優たちが取材対象となったドキュメンタリー『私が私である場所』が12月8日(金)よりアップリンク吉祥寺にて公開されることも話題になっている。

 『シンデレラガール』が11月18日(土)より新宿K’s cinemaほか、小山シネマロブレ(栃木)、シネマスコーレ(名古屋)、扇町キネマ(大阪)、アップリンク京都、元町映画館(神戸)他にて全国順次公開されるのを前に、監督の分身である主人公のマネージャー・唯役の辻千恵のオフィシャルインタビューが解禁となった。

――映画『シンデレラガール』に出演・参加した俳優を追ったドキュメンタリー『私が私である場所』でも本作のオーディションの様子が収められていますが、オーディションにはどのような思いで臨んだのですか?
 オーディションは、(看護師の)桜役で受けさせて頂きました。病室にずっといる音羽が、外の世界やお化粧や恋愛の話を聞く秘密の相手、という雰囲気が出せればいいなと思って演じました。

――看護師役でオーディションを受けたら、義足モデル・音羽のマネージャー・唯役に決まり、どう思いましたか?
 オーディションが自分の中では全然うまくいかなかったのに、なぜか唯役を頂けて、不思議な気持ちでした。台本を読んだら、唯は音羽が色んな段階を踏んでいく中で近くにいる存在で、とても大事な役だろうなと思いました。

 自分にもマネージャーさんという存在がいて、こんなに近いのに、近くにいる人のことをあまり考えられていなかったんじゃないかなとか、今までの自分のことも色々と考えました。モデルを始めたきっかけのお仕事をしていた時から自分のことを知っている方など、色んな方にお話しを聞く作業をしました。

――監督からは映画のメッセージや役についてなど、何か話はありましたか?
 本読みの時に、「自分の分身だ、だから唯の衣装も黒いんだよ」と仰っていて、とても重要な役なんだと知り、身が引き締まりました。監督の分身ということは自分を通して演じているけれど、監督を通して演じているということにもなるのかなと思って、責任を感じました。

――義足や脚をなくした方、その周りの方にお会いする機会はあったのでしょうか?
 クランクイン前に会わせて頂きました。義足を外した状態を見せて頂いたり、義足になった経緯や、普段の過ごし方などいろいろなお話を伺いました。お会いする前までは、例えばタクシーでのシーンの、「義足は見せない、見せない」というセリフを、セリフの一つとして捉えていたんですけれど、お会いして直接お話をしたら、音羽にそんなこと言えないなと思って、葛藤が生まれて。それが病室のシーンにも繋がったので、お会いできてよかったと思います。義足モデルの方が現実にいらっしゃるので、コンタクトを取って、お話をお伺いしようとしていたんですけれど、監督から「それは一旦やめて、辻さんが考えてください」と仰った意味も後からわかりました。

――「義足を障がいの象徴ではなく、個性として捉えてほしい」というセリフがありますが、ファッショナブルな義足を実際に見て、どう思いましたか?
 キラキラした義足をつけているのを見て、お洋服も相まって、偏見とか一切なく、本当にかっこいいなと思いました。本読みの時に監督に見て欲しいと言われた映像があったのですが、それを見たらカッコよくて、ヒーローのようでした。あの映像と音羽がつけているのを見たら、それは、強みでしかないよな、と思いました。弱いところが一切なくて、それを知らなかった自分を恥ずかしくなりました。

――工房のシーンで、「義足を障がいの象徴ではなく、個性として捉えてほしい」というセリフは、音羽にではなく、唯に向けて言われていて、唯の心が動くシーンだと思いましたが、そのシーンは演じていていかがでしたか?
 的を射た言葉ですよね。音羽がファッショナブルな義足をつけている姿を見て、今までただの仕事として業務をこなしていた自分の考えが覆されて、エレベーターでポロっと、言おうと思っていないけれど言っちゃったというところにつながっていると思います。

――義足モデル役の伊礼姫奈さんと共演していかがでしたか?
 休憩時間にたくさんお話しするとか、すごくコミュニケーションをとったわけじゃないんです。自分が引っ張らないといけなかったのに、音羽に全部引っ張ってもらっていたなと思います。伊礼さんは、10代の方とは感じさせないくらい、待ち時間も静かに座っていらっしゃったんです。それも音羽に見えてきて、とてもかっこよく、ついていきたいと思いました。

――デザイナー役の筒井真理子さんとのシーンの撮影エピソードはありますか?
 廊下のシーンは、そんなに言葉を交わしていないんですけれど、衣装やヘアメイクにもこだわっていらっしゃるのを感じていて、絵の構図にもこだわっていらっしゃるのが聞こえてきて、「こうあるべきだよな」と教わることが多かったです。

――本作の見どころはどこだと思いますか?
 今までの障がい者が主人公の映画だと、主人公に「頑張れ」と応援したくなる映画が多いと思うんですけれど、音羽はそんなことを言わなくても強いし、凛としているし、こちらが主人公に手を引っ張ってもらっているというとても新しい形の映画です。「こう生きていこう」だとか新しいことに気付かされる映画だと思います。

――読者にメッセージをお願いします。
 私は、「立ち上がれシンデレラ。あなたには魔法も白馬の王子様も必要ない」というキャッチコピーを読んだ時にドキッとしてしまったんですけれど、タイトルは『シンデレラガール』なので、その相反するイメージを自分の目で確かめて解決して欲しいです。撮影監督の根岸さんが撮られる映像が美しいですし、松葉杖のコツコツという音は、家でテレビで見るのとは絶対に違うと思うので、ぜひ映画館でご覧ください。

■プロフィール
木村唯役 辻千恵
1993年10月9日生まれ。佐賀県出身。
2014年モデルデビュー。2018年にショートフィルム『桃の缶詰』で主演を務める。以降の作品に、映画『たまつきの夢』(19)、『はちみつレモネード』(20)、『この小さな手』(23)、『サイドバイサイド』(23)など。月9ドラマ「女神の教室」には篠田優菜役で出演。

映画『シンデレラガール』

11月18日(土)より新宿K’s cinemaほか、小山シネマロブレ(栃木)、シネマスコーレ(名古屋)、扇町キネマ(大阪)、アップリンク京都、元町映画館(神戸)他にて全国順次公開

イントロダクション
大阪2児放置死事件を基にした『子宮に沈める』(13)、フェイクニュースによって自殺に追い込まれる少女とメディアの過熱報道による現代社会の歪みを描いた『飢えたライオン』(17)。誰もが被害者にも加害者にもなりうる世界を容赦なく描き、問題作を発表し続けてきた緒方貴臣監督が、最新作『シンデレラガール』では、進行性筋ジストロフィー(PMD)と診断されたモデルでもある森山風歩らの監修の元、「義足は障がいの象徴」とネガティブに捉えていた主人公の義足のモデルやそのマネージャーが、ポジティブに捉えられるようになるまでの心の変化を描く。

シンデレラコンプレックス(Cinderella complex)とは、男性に高い理想を追い求め続ける、女性の潜在意識にある「依存的願望」を指摘したシンドロームの名称。本作『シンデレラガール』は、「魔法」や「白馬の王子様」に依存した他力本願な、前時代的女性像である「シンデレラ」へのアンチテーゼとなる作品である。

主演は「推しが武道館いってくれたら死ぬ」では主人公の推しを演じ、JTB「いよいよ海外旅行はじまる」などCMでも活躍中の伊礼姫奈。演技力の高さと圧倒的な存在感で、今後ブレイクすること必至である。主人公・音羽の人生に大きな影響を与えるファッションデザイナー・五十嵐役で、『淵に立つ』、『よこがお』、『波紋』主演の国内外から圧倒的な支持を得る筒井真理子が参加し、作品の世界観により厚みを持たせている。

マネージャー・唯役で、主演映画『たまつきの夢』がTAMA NEW WAVE2022の「ある視点」部門に正式出品された辻千恵、看護師・桜役で、「個人差あります」の泉マリン、医師の内藤役で、純猥談 短編映画第3作『私もただの女の子なんだ』主演の太田将熙、母・多佳子役でベテランの輝有子が出演するほか、一緒にTikTok動画などを撮影する音羽の仲良しグループのメンバー役に、『なのに、千輝くんが甘すぎる。』の佐月絵美、自身フォロワー210万人超えの三原羽衣、ABEMAの恋愛リアリティー番組「今日好きになりました。小夏編」の田口音羽が集結した。

撮影監督は、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞の『淵に立つ』や『よこがお』の根岸憲一。『飢えたライオン』でもタッグを組んだ緒方監督が、根岸による撮影の繊細な機微を求め、再タッグが実現した。

STORY
12歳の時に病気で片脚を切断した音羽。その後も入退院を繰り返し、中学校の卒業式にも参加できなかった。そんな音羽のために、クラスメイトたちがサプライズの卒業式を病院の屋上でして、その動画がSNSで話題になり、音羽にモデルのオファーが舞い込む。義足の女子高校生モデルという特異性もあり、一時的に注目されるも、その後のモデルとしての仕事は義足を隠したものばかりだった。

一方、マネージャー・唯は、音羽と一緒に義足のファッションブランドで「義足を障がいの象徴でなく、個性として捉えてほしい」という理念を聞き、心を動かされる。義足をもっと押し出していこうと決める二人。やがてファッションショーに出演できるチャンスがやってくるが……。

伊礼姫奈
辻千恵 泉マリン 太田将熙 輝有子 佐月絵美 三原羽衣 田口音羽 山本海里 梶刀織 アライジン 小関翔太 イトウハルヒ 中村颯夢 嶋貫妃夏 筒井真理子

監督:緒方貴臣 脚本:脇坂豊、緒方貴臣 撮影監督:根岸憲一 照明:佐藤仁 録音・MA:岸川達也 助監督:中根克 美術:ぐちこ/榎本桜 スタイリスト:後原利基 ヘアメイク:Risa CHINO 小道具:伊藤由紀 編集:澤井祐美 音楽:田中マコト、菱野洋平(WALL) 制作:杉山晴香、箱田准一、長谷川穣 義足監修:臼井二美男 グラフィックデザイン:木下デザイン事務所 プロデューサー:榎本桜、緒方貴臣、塩月隆史、杉山晴香、夏原健、森山風歩 製作:paranoidkitchen、リアルメーカーズ、ラフター 配給:ミカタ・エンタテインメント
2023年/日本/カラー/16:9/5.1ch/61分
(C)2023映画『シンデレラガール』製作委員会

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