航空会社創業の物語と、クライム・サスペンス。インド映画の話題作2本が日本上陸

 2020年代インド映画の話題作2本『ただ空高く舞え』『ヴィクラムとヴェーダ』が、ついに日本上陸。1月6日より新宿K’s cinema他で全国順次公開される。

 第78回ゴールデングローブ賞最優秀外国映画部門でインド代表作品のひとつに選ばれた『ただ空高く舞え』は、2020年の作品。インド初のLCC航空会社「エア・デカン」創業の実話を基にしている。

 空軍士官・ネドゥマーランは、実家の父が危篤であるという知らせを受ける。彼と父の関係はしばらくの間うまくいっていなかった。が、口ではきついことを言っていても父は息子のことを気にかけており、息子もまた父と再び会いたいと思っていた。飛行機に乗って実家に戻れば死に目に会えるかもしれない……。が、エコノミークラスは満員で、他のクラスの運賃を払えるほどの豊かさはネドゥマーランにはなかった。結果、父と息子が和解する機会は失われてしまったのだが、この時の悔しさがネドゥマーランの心に火をつける。「誰でも乗れる運賃の飛行機を」、私は“いいじゃないか”と思ったが、それを面白く思わないひとたちもいて(なにしろカーストの国である)、差別、いやがらせも日常茶飯事だ。が、ネドゥマーラン、その仲間、家族はそれに屈しない。その逞しさが、歌やダンスも交えつつ150分間味わえるのが、この一作だ。監督はスダー・コーングラー、出演はスーリャほか。

 『ヴィクラムとヴェーダ ヒンディー語版』は、仁義なきクライム・サスペンス(2022年作品)。やはり歌やダンスも含みながら、157分間にわたって物語が粘っこく展開される。主人公の警視・ヴィクラムは、物事を大局的に考えるタイプなのだろう、目下の犯人逮捕もいいけれど、犯罪の撲滅を目指そうと考えるタイプで、偽装襲撃というやり方に力を入れている。

 もうひとりの主人公であるヴェーダは、(ネタバレも含むのであっさり言うと)犯罪者。類まれな頭のキレ味と身体能力を持っている。ヴェーダは逃げて逃げて逃げまくるが、「犯罪者よりも極悪な連中」の姿が、物語が進むにつれて浮かびあがってくるところに私は猛烈なスリルを感じた。あの撃ち合いシーンの迫力ときたら……。監督はブシュカル&ガーヤトリ、出演はリティク・ローシャン、サイフ・アリー・カーンほか。

映画『ただ空高く舞え』


1月6日(土)より新宿K’s cinema ほか全国順次公開
配給:インド映画同好会
(C)2D Entertainment
公式サイト
https://sooraraipottrumovie.org/

映画『ヴィクラムとヴェーダ』


1月6日(土)より新宿K’s cinema ほか全国順次公開
配給:インド映画同好会
(C)Y Not Studio and the others all rights reserved
公式サイト
https://vikramvedhahindimovie.org/

新宿K’s cinema
https://www.ks-cinema.com/