『スター・ウォーズ』シリーズのレイ役でおなじみの、デイジー・リドリーが持つ別の一面が楽しめる一作。彼女自身が主演・プロデュースを務め、監督にはレイチェル・ランバート(2023年インディワイヤー誌が発表した、注目の女性監督28人のひとり)が起用された。レイチェルの長編作品が日本公開されるのは今回が初めてであり、そちらでも注目を集めることだろう。
デイジーが演じる主人公・フランは、「華やか」とか「社交的」といった言葉とは正反対のキャラクター。自分の存在を他人に知ってほしくないかのように、淡々と、物静かに過ごしている。趣味と呼べることがあるとすれば、空想にふけることぐらいだ(しかもその「空想」の内容は、相当アクが強い)。だが生きていくということは他者と接するということであり、新しく会社の同僚となった(かなり年上の)ロバートはフレンドリーな性格、人生経験を感じさせる振る舞いもあって、フランにとっても必要以上の「壁」を作る必要がない、比較的カンファタブルな存在となった。
もっともそこから友人や恋人の関係になるにはいくつものステップが必要となるのだが、フランはいくつもの殻を破り、ロバートは常に温厚。鬼面人をおどす展開などどこにもないが、この「人肌感」を私はとても好ましく感じた。オレゴン州の港町・アストリアで撮影されたという雄大な風景も見ものだ。ロバート役は、普段はコメディアンだというデイヴ・メルヘジ。
映画『時々、私は考える』
7月26日より新宿シネマカリテほかにて全国順次公開
主演・プロデュース:デイジー・リドリー
監督:レイチェル・ランバート
出演: デイヴ・メルヘジ、パーヴェシュ・チーナ、マルシア・デボニス
脚本:ケヴィン・アルメント、ステファニー・アベル・ホロウィッツ、ケイティ・ライト・ミード
原題:Sometimes I Think About Dying | 2023 | アメリカ | 英語 | 93分 | 字幕翻訳 リネハン智子 | G | 配給 樂舎
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