ひたひたと怖さが迫る一作。婚約している女性が主人公とはいえ、観終えた頃には、性別や年齢や既婚未婚に関係なく「明日は我が身かも」と内省するのではなかろうか。
主人公・直子は、婚約者の浮気を知ってしまった。やがて、同僚の紗季の影響でマッチングアプリを始める。これが直子には妙に合っていたようだ。デートをすることで収入は得られるし、その間の自分は、いわば別の自分になっているわけで、そうした「演じる快感」をも感じていたことだろう。いろんな境遇の男性と話すことも気晴らしになったに違いない。「独身男性の、地方にいる親を安心させるために、婚約者のふりをして写真に納まる」ことも、ある意味、人助けをしているような気持ちであったかもしれない。が、人間にはエモーションというものがあるし、「その時間限りのつきあい」だとわかってはいても、いわゆる「ガチ恋」状態になってしまう男性もいる。直子は、いつまでクールでいられるのか? その心がポキンと折れたらどうなるか? 紗季との関係は? ひたむきに働く花屋の少女は何を思っているのか? ラストの展開は、まるでメビウスの輪だ。
監督は池田健太、主演は大西礼芳。ほか玄理、柾木玲弥、小川あん、宮田佳典らが登場する。
映画『STRANGERS』
11月2日(土)よりシアター・イメージフォーラム他にて順次公開
出演:大西礼芳、柾木玲弥、小川あん、宮田佳典、佐藤玲、岩瀬亮、谷川昭一朗/玄理
監督・脚本:池田健太 エグゼクティブ・プロデューサー:原典孝 プロデューサー:永山正史、池田健太 音楽:橋本秀幸 撮影:佐々木靖之 美術:安藤真人 スタイリスト:碓井章訓 ヘアメイク:菅原美和子 整音:柳田耕佑 助監督:古畑耕平 制作担当:前田優也 音響効果:武藤晶子 VFX:山本康士 インティマシーコーディネーター:浅田智穂 宣伝美術:千葉健太郎 スチール:江森康之 企画・製作・配給:impasse
【2023年/日本/99分/カラー/HD/1.66(ビスタ)/5.1ch/DCP/映倫審査区分:G】
(C)impasse
シアター・イメージフォーラム
https://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/7812/