アイルランド語でラップするヒップホップ・ユニットが、半自伝的な作品で自ら主演。『KNEECAP/ニーキャップ』

 2017年に結成されたヒップホップ・ユニットであるニーキャップが、みずから“自身の物語”を演じる一作。力道山が主演した『力道山物語 怒涛の男』などを思い起こしていただければ、それほどイメージの異なることはないのではと思う。

 彼らの芸風の特徴は、アイルランド語を用いているところにある。この言語は2022年まで公用語として認められていなかった。だが彼ら3人はこれでラップをやっていこうと決意する。数えきれないほど「英語でやったら?」といわれたことだろうが、彼らはそれを通す。聴いた感じ、ずいぶん英語より粘っこい印象をうけた。リリックには露悪的というか「ワル自慢」みたいなところもあるが、もののわかったような言葉なんかは、トシをとってからラップしても決して遅くはない。アイルランド語が公用語となった背景には、疑いなく彼らの躍進があろう。

 この映画は、アイルランド語映画として初週動員歴代1位の大ヒットを記録し、世界の映画祭でも大絶賛を受け25度の受賞(第40回サンダンス映画祭NEXT部門の観客賞など)と63度のノミネートを果たしたという。この4月には世界最大級の野外音楽フェスであるコーチェラ・フェスティバル(アメリカ・カリフォルニア州)にも出たのだから、その活動がますます勢いづいているのはいうまでもない。エルトン・ジョン、ノエル・ギャラガー、エルヴィス・コステロ、ベックらが絶賛しているとのことで、彼らがニーキャップの何に惹かれたのか、あれこれ考えて鑑賞するのも面白いと思う。監督・脚本はリッチ・ペピアット。

映画『KNEECAP/ニーキャップ』

8月1日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

監督・脚本:リッチ・ペピアット 製作:トレバー・バーニー、ジャック・ターリング 撮影:ライアン・カーナハン 音楽:マイケル・“マイキー・J”・アサンテ
出演:モウグリ・バップ、モ・カラ、DJプロヴィ、ジョシー・ウォーカー、マイケル・ファスべンダー
2024年/105分/イギリス・アイルランド/原題:KNEECAP/カラー/5.1ch/2.35:1/R18+
(C) Kneecap Films Limited, Screen Market Research Limited t/a Wildcard and The British Film Institute 2024
日本語字幕:松本小夏 後援:アイルランド大使館 配給:アンプラグド

公式サイト
https://unpfilm.com/kneecap/