「はあ、こういう視点があるのか」と、じっと見入ってしまった。というのも私は一人っ子であり、「兄弟のいるひと」という存在そのものが神秘的であるからだ。

俳優のアリアン・ラベドによる、長編監督デビュー作。ラベドといえば、ヨルゴス・ランティモス監督のパートナーとしても知られる。ヨルゴスの、あの独特の、ドライでひんやりした感じがアリアンの作風にも流れているように感じるのは私だけではあるまい。主役を演じるのは、それぞれセプテンバーとジュライと名付けられた姉妹。セプテンバーが9月に生まれた10ヵ月後にジュライは生まれた。
とにかくこの姉妹は気が合う。まるで、ふたりでひとつの人格のようだ。が、観る者が「あれ?」と気づく時はやってくる(それが何分何秒目にやってくるかは個人差があると思うが)。姉は妹を支配しているのではないか? 無意識のうちに妹は姉に服従しているのではないか? 姉の強権はどんどんエスカレートしているのではないか? ふたりが成長すればするほど、大人の女性になるほど、そこに近づいてくるのは悲劇だ。「ゴシック風のおとぎ話とホラーの二つの顔を併せ持つ」という評価が何よりも作品を物語っている。ある意味、覚悟をしたうえでじっくり物語に浸るべき作品であろう。
原作はデイジー・ジョンソン『九月と七月の姉妹』。キャストはミア・サリア、パスカル・カン、ラキー・タクラーほか。
映画『九月と七月の姉妹』
9月5日(金) 渋谷ホワイトシネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
監督・脚本:アリアン・ラベド
出演:ミア・サリア、パスカル・カン、ラキー・タクラー
原作:デイジー・ジョンソン『九月と七月の姉妹』(東京創元社刊)
共同製作:レイチェル・ダーガヴェル、ヴィオラ・フーゲン、マイケル・ウェバー、セシル・トル=ポロノウスキー
撮影:バルタザール・ラブ
編集:ベッティナ・ボーラー 『水を抱く女』『ワイルド わたしの中の獣』『ハンナ・アーレント』
音楽&音響デザイン:ジョニー・バーン 『哀れなるものたち』『憐れみの3章』『関心領域』
キャスティング:イザベラ・オドフィン『How to Have Sex』、(アイルランド)エマ・ガナリー
衣装:サローグ・オハロラン
プロダクションデザイン:ローレン・ケリー
ヘアデザイン:サンドラ・ケリー
メイクアップデザイン:クレア・ラム
配給・宣伝:SUNDAE
2024|100分|英語|アイルランド、イギリス、ドイツ|アメリカン・ビスタ|DCP|5.1ch|原題:September Says|字幕翻訳:橋本裕充
レイティング:PG-12
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