まさしく現代の「寓話」である。主人公はリアルタイム動画配信サービス「WAG」のスター配信者、ウサン。大衆の覗き見根性をくすぐるような犯罪をとりあげたチャンネルの司会進行によって、支持が急上昇している。キメキメの外見で、ポーズをとりながら、カメラ目線でセンセーショナルなことやかっこいいことをいうウサンは、まぎれもなく特定のファンの間でのカリスマである。が、彼の後ろにはその座を狙う者が必ずいて、心が落ち着くことはない。そもそも、いきすぎた「慢心」、度を越した「承認欲求」の先に明るい展開はない。ある時、彼は女性ばかりを狙った連続殺人鬼をターゲットに、プロファイリングの過程を生配信する。ここが転落の始まりだった。

今日のカリスマが明日の落伍者となり、承認欲求というものは高まることこそあっても配信者の心を落ち着かせることはない。内容は『殺人配信』というタイトルそのものと言っていいと思うが、観終わった後に残るのは、これは我々にとっての普遍の物語ではないか、という気持ちだった。そして配信者仲間のマチルダがとった行動は、実にクレヴァーなものに感じられた。出演はカン・ハヌル、ハ・ソユンら。監督・脚本はチョ・ジャンホ。
映画『殺人配信』
9月26日から新宿ピカデリー他 全国公開
監督・脚本:チョ・ジャンボ
配給:ファインフィルムズ
(C)2025 LOTTE ENTERTAINMENT & VERYGOODSSTUDIO All Rights Reserved.