大ベテラン俳優たちがおくる、人生100年時代への応援歌。『それいけ!ゲートボールさくら組』

 過去、人生50年といわれた時代があったという。が、いまは人生100年時代。当然ながら年齢の描き方にもニュー・スタンダードがあっていいのだ。そうした意味で、この『それいけ!ゲートボールさくら組』は、王道エンターテイメントでありつつも、実は画期的な内容なのだと思った。

 物語の中心になるのは、かつて高校のラグビー部で苦楽を共にした男たち。元マネージャーの“さくら”が経営するデイサービス“桜ハウス”が、卑怯な手段によって倒産の危機にある。いまこそ元ラグビー部のメンバーが結束して、元マネージャーの苦境を救うべきではないのか。結果、60年前のスポーツ少年が心を一つに集まった。この俳優たちのラインナップがすごい。主演の藤竜也を筆頭に、石倉三郎、大門正明、森次晃嗣、小倉一郎、亡くなったかつての仲間として写真で登場するのは毒蝮三太夫だ。平均年齢76歳・合計380歳が、「青春はエンドレスなんだ」とばかりに、ゲートボールに打ち込み(私はこの映画でルールを初めて知った)、努力と友情と正義の力で、卑怯な奴らをギャフンといわせる。勧善懲悪の気持ちよさ、ここにありという印象を受けた。

 元マネージャー・さくら役の山口果林は寝ると記憶がそのつど飛び、ゆえに娘がつきそっている状態だが、起きてまわりにラグビー部の仲間がいるとマネージャー時代の記憶が呼び戻されるのだろう、気分はたちまち高校生になる。監督・脚本・編集は野田孝則、さくらは彼の母親がモデルになっているという。5月12日、全国公開。

映画『それいけ!ゲートボールさくら組』

5月12日(金)“笑顔満開”ロードショー
配給:東京テアトル
(C)2023「それいけ!ゲートボールさくら組」製作委員会

公式サイト
https://gateball-movie.jp/