舞台「アリスインデッドリースクール」の誕生15周年を記念した「~ネクサス」が上演開始。個々の心情をより深く掘り下げた感動作へと昇華

 スタジオケーズとアリスインプロジェクトの合同制作舞台「アリスインデッドリースクール ネクサス」が12月10日より、築地本願寺ブディストホールで上演中だ。

 今回は、誕生15年を祝う周年企画となり、演出には初演を担当した松本陽一氏を迎え、より原点(2010年上演)に近い雰囲気にまとめられているという。

 デッドリーの初演は、記者が初めて舞台のゲネを取材した作品であるし、17年公開の劇場版「~アジタート」にはカメオ出演していることもあって、デッドリーシリーズはとても感慨深い作品となっている。

 さて、新しいデッドリー ネクサスは、随所に微妙な変更(演出・セリフ)を感じる仕上がりで、中でも登場人物の心理描写はより繊細になっているようで、優と信子の関係性や、紅島の存在感、これまではダブルキャストが多かった保健委員の二人(特に宍戸舞の存在感)など、さらにキャラの造形が濃密になっていて、知っているのに、新鮮な感動を味わえるものになっていた。特に紅島の造形には目を見張った。ネタバレしてしまえば、結構冒頭から“いい人”になってしまっているのだ(笑)。演じている一本鎗も「(紅島は)優しいんです。ついつい(周囲の人に)優しくしたくて出ちゃうんです。(演じていても)ああ、出ちゃったと思いつつ、やっています」と、自らの芝居について語っていた。

 また、主人公の二人、優と信子の関係性も、歴代のキャストとはまた異なる印象を受けたので、古参の遠藤(信子 役)に聞いてみると、「信は突っ込み役なんですけど、実は私は突っ込みが苦手で……。なので、一所懸命突っ込みについて調べて頑張っています」と答えてくれた。相方優役のあわつはそれを聞いて「稽古中にある日突然、突っ込みが覚醒したんです」とコメント。そうして歯車がうまくかみ合っているところがまた、歴代とは異なる優と信の雰囲気の醸成に大きく貢献しているのだろう。

 特に印象に残ったのは、後段のインタビューの稿でも紹介している、桜羽まりの演じる・保健委員の宍戸舞。同じく、松本氏のコメントにあるように、~ネクサスでは、「全員が主役に見える」演出が施されているが、それが一番発露したのが、桜羽の芝居・表現力と相まって、宍戸舞という役をもう一段高みへと引き上げているように感じた。

 以下、ゲネ終了後の、キャストコメントを紹介します。

●あわつまい/墨尾 優 役
デッドリーの15周年作で、優役を演じさせていただき、大変うれしく思います。普段のアリスインさんとかスタジオケーズさんの舞台って、結構フレッシュな感じのキャストが多い印象があるんですけど、今回のキャストには実力者が揃っていることもあって、謎の安心感と安定感があり、安心して優を演じられております。

●遠藤瑠香/百村信子 役
デッドリー15周年おめでとうございます。私は何度もこのデッドリーの世界では生きさせていただいておりまして、辛いけれどもまた帰ってきてしまう……。この感じって何なんだろうって思っていますけど、癖になるんですかね? でも、(時間が経つと、苦しさを)忘れちゃうのかもしれないですね。それで、また帰ってきたらやっぱり苦しい、みたいな。そういう感じになるんですけれども、ある意味それが楽しいというか、このデッドリーの世界で生きられるのは、また帰ってこられたという安心感があるので、今回は15周年ですけど、これからも続いて行ったら嬉しいなと思っています。

●中村朱里/青池和麿 役
私は、デッドリーシリーズに今回、初めて出演させていただいいています。なんかこう、ありえない世界というかファンタジーなんですけど、舞台上ではすごく現実味があって、危機が迫った時にしか出ない本音があったりして、人間味のある舞台になっているところは、これまで経験がなかったので、すごく面白い舞台なんだと感じています。これが長年にわたって愛されている理由なんだと思い、演じていてもすごく楽しくやらせていただいております。いま、ゲネを終えて、これから始まっていくんですけれども、もっと(この世界に)没入していける、そんな気がしたので、千秋楽までこの気持ちを持ち続けながら、皆さんと一緒に頑張っていければと思います。

●一本鎗希華/紅島弓矢 役
個人的な話になってしまいますが、私はずっと紅島に憧れていて、2度目のデッドリー出演でこの紅島を演じさせていただくことに、もう個人的にエグって感じています。前回(演じた役で)感じなかったもの――いろいろな苦しみ、辛さ、楽しさ――が、今回別の視点で見られたことがいいなと思っています。新しいメンバーで、新しいデッドリーをできたことも、本当に素敵なことなのかなと思います。今回15周年っていうことで、もっともっといろんな人に(作品を)知ってもらいたいし、もっともっと続いていってほしい作品だと感じています。

●桐下愛未/辻井水貴 役
歴史あるデッドリーシリーズに出演させていただくのも初めてでしたし、しかも、こういう重たい舞台への出演も初めてだったので、すごく心に来るものがありました。舞台上では、普通に学校の生活を送っていた生徒たちが、突然、ゾンビに襲われて、どんどんゾンビになっていってしまう。それは、現実でも考えさせられることがあるというか、いま、日々を普通に過ごせているけど、いつか突然に無くなってしまうかもしれない……。そういう儚い気持ちを得ることができて、この作品に出演することができて良かったと思います。歴史のある舞台の中で、水貴という役を大切に演じて、デッドリーシリーズのファンの方をはじめ、初めて観劇される方にも“よかった”と思ってもらえるように走り抜けます。

●三姫奈々/橙沼霧子 役
デッドリーへの出演は今回で4回目になります。前回は、千秋楽まで駆け抜けることができずに、思い残しというか、モヤモヤが残った日々を過ごしてきましたけど、今回、15周年という節目の素敵な機会にまた屋上に呼んでいただけて、本当に幸せを感じています。このカンパニーに初めて出演させていただいた時、がーなさんが霧子を演じられていて、憧れていたんです。それを今回私が演じさせていただくことになって今、本当にめちゃめちゃ幸せです。(今回は)最後まで駆け抜けられるように頑張ります。

●永瀬がーな/高森朝代 役
個人的なことを言いますと、デッドリー出演10周年になります。あれから何回も屋上に呼ばれてきて、毎回、いろいろな役を演じさせてもらっているのに、(今回も)新鮮さを感じています。何度も出演しているのに、キャストが変わると、また新しいデッドリーが生まれている感覚です。そう考えると、今後もデッドリーは長く続いていくのではないかと思っています。次は20周年、(ガールズ演劇には)ちょっと年齢的にきつくなりますけど(笑)、続いていってほしいです。

●内来志/竹内珠子 役(ゲスト)
竹内珠子役のゲスト、内来志です。二人で同じ役を演じるので、ダブルキャストみたいな感覚ですけど、Wとは異なるスケジュールで出演させていただきます。初めてのデッドリーに出演できてうれしいです。余談ですが、この劇場は、3年前に主演をさせていただいて以来なので、それもうれしいです。

●沖田桃果/竹内珠子 役(ゲスト)
竹内珠子役のもう1人、沖田桃果です。今日は出番はなかったので、明日から出ます(笑)。よろしくお願いします。15周年という節目の、記念すべきタイミングで、実は、私は初めてデッドリーに参加させていただきまして、顔合わせなどでも何度も、初めてですと言っているのに、「何度も出てるから大丈夫だよね」って言われるんです。本当に初めてなんですけど、座組には歴戦の猛者がたくさんいらっしゃるし、演出には原点とも言える松本さんが関わってくださっているので、稽古場には、深みというか、重みを感じるような雰囲気が充満していたように覚えています。安心感がありました。何度も出ていると思われている馴染み具合を、明日以降、感じていただければと思います。お楽しみに。あと、髪を黒くしました。黒髪を見に来てください! 加えて、普段は人外役が多いんですけど、今回は人間を演じています。そこにも注目してください。

●濵川明那/黄市恵美 役
ダブルキャストで、5公演出演させていただきます。私はもう、あわつさんが好きで、あわつさん演じる優をリスペクトしている役柄同様に、私も心からあわつさんをリスペクトしていますので、もうひたすらあわつさんの素晴らしさを前面に押し出したい気持ちでいっぱいです。あわつさんが座長の座組に出演させていただくのが、本当に光栄です。最後までついていきます!

 ということだったので、あわつ氏に話を振ると

●あわつまい
はい、(私のことを)好きな気持ちはもうすでに知っておりまして、ついこの間も「魔法歌劇アルマギア」で共演していますし、「スーパーマンガ大戦-THE NEXT-」では、ダブルキャストで同じ役をやっています。濵川さんはすごく若いのに、すごくしっかりしていて、お芝居も安定感があって素敵だなって思います。先週誕生日だったんですけど、プレゼントをめっちゃくれました。

●桜羽まりの/宍戸舞 役
今回初めて、デッドリー出演させていただきます。初めてなんですけど、過去作を知っている方からは、「すごく舞さんらしかった」と褒めてもらうことが多くて。これまでの舞の雰囲気を知らないのですが、そう言ってもらえるので、自信になって安心できています。その安心を届けられる舞が演じられているのかなって思っています。

●松本陽一/演出
僕は、初演のデッドリーからやらせていただいて、今回で 4 回めか5回めの演出になりますけど、本作は今までで1番濃厚になっています。脚本自体は、少しそぎ落としていて、上演時間も過去一短い1時間50分なんですけど、その分大事なエッセンスがぎゅっと詰まっていて、加えて、今回は全員が主役に見えるようになっています。そこが今回のネクサスの1番の特徴と思って、キャストと一緒に芝居を作ってきました。

稽古場ではすごく(芝居を)積み上げていけている実感があって、僕はスポーツが好きなので、スポーツに例えて言えば、全員サッカーとか、全員野球とかいう雰囲気で、サッカー日本代表の森保監督が一流の選手でも守備をサボらないでハードワークしている、と言っていますけど、この舞台も本当に同じで、キャスト全員がそれを体現してくれています。ご覧になると分かりますが、ほとんどの人がずっと出ずっ張りの舞台なので、全員が集中力を持ってこの屋上にいるっていう状態を、1時間とか1時間半の間、ずっと作り続けなくちゃいけないんです。体力と精神力がすごく必要で、ちょっとでも気を抜くとうまくいかなくなります。全員がギュッと集中して、セリフを言っている人、それは受け取っている人、それで戸惑っている人、いろんなことをずっと演技し続けて、空間を濃密に作ってくれています。それが今回のデッドリーの1番の魅力だと思うので、何回見ても痺れる舞台になるんじゃないかなと、自負しています。千秋楽まで集中して頑張っていきましょう。

※ゲネの写真は後日掲載します。しばしお待ちください

※ゲネの写真追加しました(12/11 20:30)

舞台「アリスインデッドリースクール ネクサス」

12月10日(水)~14日(日)まで、築地本願寺ブディストホールにて上演 全8公演

12月11日・木=19:00
 12日・金=14:00・19:00
 13日・土=13:00・18:00
 14日・日=12:00・17:00
※上演時間:約2時間(途中休憩なし)
※ロビー開場・物販開始は60分前。客席開場は45分前

<キャスト>
あわつまい / 遠藤瑠香 / 中村朱里 / 一本鎗希華 / 桐下愛未 / 日和ゆず / 三姫奈々 / 永瀬がーな / 絃ユリナ / 加藤瞳 / 有井ちえ / 天知ひまり / 桜羽まりの / 月詠乃愛 / 柏木れに / 神田緋那 / もりしまりお

【変則ダブル】
濵川明那(10日(水)・12日(金)・13日(土)の5公演に出演)
北條里奈(11日(木)・14日(日)の3公演に出演)

【ゲスト出演】
内木志(10日(水)19:00・12日(金)19:00・13日(土)18:00・14日(日)12:00)
沖田桃果(11日(木)19:00・12日(金)14:00・13日(土)13:00・14日(日)17:00)

<料金>
SS席9,000円(前方3列)
S席 7,500円(前方4~6列)
A席6,500円(S席以外の席)
※全席指定・税込
※不可抗力により興行を中止する場合以外は他の日時、別種のチケットと交換または払い戻し等はいたしません。

<スタッフ>
原作・脚本/麻草郁
演出/松本陽一(劇団6番シード)
ネクサス主題歌プロデュース/Reom
楽曲アレンジ/藤丸哲司
演出助手/増野美由紀 (劇団6番シード)
舞台監督/吉川尚志(劇団SURFSHOP)
舞台美術/椎橋蘭奈
照明/榊原大輔
音響プランナー Mana-T(M&)
音響オペレーター 伊勢川乃亜
振付/青井美文
衣装/小武家香織
ヘアメイク/藤本麗
歌唱サポート/椎名亜音 (劇団6番シード)
稽古場協力/ 平塚あみ・日菜森めぶき
スチール/凸ポン
宣伝美術/益子晃
HP作成/小和田明
協力(50音順)
アステールオフィス/AQUA ARIS/ApRicoT/SIRA/ジャスティスジャパンエンターテイメント/スターダストプロモーション/style office/DoubleArrow/ディアステージ/Bloom Lab./ぽけっとファントム/W.kojoh
制作協力/是川シノ・梅田祥平(ApRicoT)
票券/島崎翼
制作進行/feather stage
制作/Studio K’z・アリスインプロジェクト
プロデューサー/美濃部慶・鈴木正博
¥製作/アリスインデッドリースクール ネクサス 製作委員会
主催:Studio K’z

公式サイト
https://studio-kz.info/