2023年、ペルーで制作されたモノクロ映画。心の準備が必要な作品であると思う。主人公の少女の名前は「ヤナワラ」。これは「夜明けに輝く星」を意味する。とても愛情を注がれて生まれたのだろうと思われる。そして、両親を亡くしてからは祖父に育てられた。祖父は、経済的に難しい状態であっても、女性であっても、若者は教育をしっかり受けるべきだという考えを持っていたようで、それ自体はまったく筋が通っているのだが、ひとりの教師が腐れ外道だった。書くのもはばかられるようなことを、ヤナワラにした。大人の男性に押し倒されているのだから少女が逃げ出すのは実質的に不可能、大声で叫んで助けを求めることはできたかもしれないがあまりのショックのためか声が出てこない。しかもヤナワラはこの件で徹底的に心を痛めてしまった。

劇中でのこの男教師のずるさ、逆ギレ、権力をかさにした振る舞いは見る者に殺意を抱かせるに充分なものだ。が、気の毒なのはヤナワラだ。「悪霊に魂を囚われた、よごれた人間」として村八分のように扱われてしまうのだ。そこで祖父はどうするか? そのあたりからストーリーにいささかの光明がさしてくる。この映画は当初、『アンデス、ふたりぼっち』のオスカル・カタコラ監督によって制作が始まったそうだが、急逝したため、叔父のティト・カタコラ監督(『アルパカと生きる喜び』)が引き継いだ。そこまでして完成させたかった作品なのだ。
映画『少女はアンデスの星を見た』
12月20日より新宿K’s cinemaほか全国順次公開
出演:ルス・ディアナ・ママニ、セシリオ・キスぺ
監督:ティト・カタコラ、オスカル・カタコラ
脚本:オスカル・カタコラ 撮影:フリオ・ゴンザレス、 ティト・カタコラ、オスカル・カタコラ 編集:ティト・カタコラ プロデューサー:ティト・カタコラ
ペルー|2023年|アイマラ語|104分|モノクロ|4:3|原題:Yana-Wara
字幕翻訳:矢島千恵子 アイマラ語監修:マリオ・ホセ・アタパウカル
後援:在日ペルー大使館、日本ペルー協会 配給:ブエナワイカ
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