主人公の、ある意味、熱に浮かされた行動を見ているうちに、「がんばって」「うまくいきますように」という声が私の心の中から起こってくる。観終わった後の気分も実にさわやかだ。

台湾の山間部に住む38歳の女性・リンを軸とする物語。ニワトリや犬に囲まれた生活はつつましくも充実しているようで、弟・ウェイホンの結婚も決まって嬉しそうだ。が、「女性がいい年こいて独身というのはいかがなものか、相手がいないのなら紹介するよ」的な時代錯誤のおせっかいはいるもので、本作ではそれが叔母なのだ。さらに物語には姪も登場し、彼女に勧められるままに、リンはマッチングアプリに登録してしまう。名前は“サリー”、年齢も若く偽って、いざアプリをやってみたら、これが楽しくて、マーティンという、パリで画廊を営んでいるというフランス人と意気投合する。SNSという「モダンな文通」を繰り返すことによって、一度もリアルで会ったことはないにもかかわらず恋心はつのるばかり。向こうからは「一緒に住みたい、だが何かと物入りで」的な書き込みもあった。心が高まったリンは貯えとともに、フランス語ができないのもなんのその、勢いたっぷりにパリへ向かう。さあ、そこからどうなるか、これが実にエモーショナルだ。
リンを演じるのは、今から20年ほど前にアイドルデュオ・Sweetyで活動したエスター・リウ(奇しくもパリで音楽を学んだ経験がある)。監督はこれが長編デビューとなるリエン・ジエンホン、共同脚本はエッセイ・リウ。第26回台北映画賞では最優秀音楽賞をリー・インホンが受賞し(幼馴染のハオ役としても登場)、ほか主要5部門にノミネートされた。
映画『サリー』
1月16日(金)より 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネスイッチ銀座 ほか全国順次公開
監督:リエン・ジエンホン 脚本:リエン・ジエンホン、エッセイ・リウ 撮影:リャオ・チンヤオ プロデューサー:アマンダ・ツァン・レイナート ワン・ウェイレン デニス・ウー リア・リー
出演:エスター・リウ、リン・ボーホン、リー・インホン、ヤン・リーイン、タン・ヨンシュイ
配給・宣伝:アニモプロデュース
2023年 | 台湾・フランス | 105 分 | 中国語・英語・フランス語 | 字幕:日本語|協力:大阪アジアン映画祭|後援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
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