山田佳奈監督の長編初監督作『タイトル、拒絶』、満員御礼の劇場で舞台挨拶を実施。「キャスト全員が生きた芝居をしてくれて、作品を愛してくれて監督冥利に尽きる」と笑顔

 山田佳奈監督の長編初監督作となる「タイトル、拒絶」の公開(11月13日)を記念した舞台挨拶が11月14日(土)、渋谷のシネクイントで行なわれ、主演の伊藤沙莉、共演の恒松祐里、そして山田佳奈監督らが登壇した。

 本作は、山田監督が2013年に舞台化した作品を映画化したもので、先述したように、氏にとって初の劇場長編作となるもの。当初は、なかなか公開が決まらなかったそうで、心中では「公開が決まっている前提でここまで向かってきました」と、これまでの苦労を吐露していたが、満員の客席を見て「幸せをいま噛みしめています」と満面の笑み。「観客の皆さんに観てもらって初めて映画は完成するものなんだと実感しました」と、嬉しそうな表情を見せていた。ちなみに、公開初日となった昨日は、不安からか自ら劇場に足を運んで客の入りを確認したそう。

 今回、主役のカノウを演じた伊藤は、山田の演出を絶賛。「佳奈さんの演出は?がない状態で現場にいれるのでストレスがないし、(役が)どういう感情の流れでそういう行動を取るのかについて、ていねいに寄り添って、一緒に作ってくださるので本当に心強かった」と現場を振り返り、「優しいし面白かった」と監督の人となりをほめちぎっていた。

 役・作品については台本を読んですぐ「刺激的な内容で、シンプルにめちゃくちゃ面白いと思った」そうで、中でも自分が演じることになるカノウについては「速く演じたい」という感情が沸き上がってきたそう。

 一方、デリヘル嬢のマヒルを演じた恒松は、本作の感想について「女性の登場人物が多いのですが、それぞれにきちんと物語があって、それがすごく素敵だなと思った」そう。その上でマヒルについては「痛みを抱えながら無理して生きているという人間を、同じ女性として生まれた私が演じきれると信じてオファーをいただけたことが、すごくうれしかったです。結果として、私にもこういう役ができるんだという自信につながりました」とうれしそうな表情を見せ、「伊藤さんの演じたカノウのお芝居と合わせ、本作を観ていただいた方々を勇気づけることができたり、ふと心に触れられたらいいなと思います」と、かわいらしいコメントも発していた。]


 ちなみに、記憶に残っているのは、ラストの乱闘シーンにフラッとマヒルが表れて見せる表情だそうで、「その時が(マヒルの)感情のピークだったんです。(撮影期間中は)そこへ向けて感情を高めていって、自分でもやったことがないぐらい気持ち悪い笑い方ができたんです。マヒルは、痛みを伴うほど笑う子で、その痛みが限界というか沸点がおかしくなるぐらいまで(自分の中で)高まった時に、人ってこんなに気持ち悪い笑い方をするんだっていうことが、自分の中での発見でした」。その表情は、共演した片岡礼子にも、「すごく気持ち悪かった」と言われるほどになったそうだ。そんな芝居を引き出してくれた山田監督については、「人間として最高。大好き!」と満面の笑みで絶賛していた。

 そんな二人を山田監督は絶賛しており、それぞれ役づくりに向かう個性(違い)を楽しみながら演出を行なったそうで、ほか全キャストを含めて「すべての俳優が生きた芝居をしてくれた」と手放しのほめようだった。

映画『タイトル、拒絶』

11月13日より新宿シネマカリテ、渋谷シネクイントで上映中 ほか全国順次ロードショー
<キャスト>
伊藤沙莉
恒松祐里、佐津川愛美/片岡礼子/でんでん ほか
<スタッフ>
監督・脚本:山田佳奈
配給:アークエンタテインメント
(C)DirectorsBox

公式サイト https://lifeuntitled.info/