ネットが生み出す闇を描いたドキュメンタリー『SNS-少女たちの10日間-』,いよいよ日本公開

 ホラー映画ではないのに、猛烈な恐怖を感じた。原案:ヴィート・クルサーク、監督:バーラ・ハルポヴァー、ヴィート・クルサークの“リアリティ・ショー映画”『SNS-少女たちの10日間-』が、4月23日(金)からヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほかで公開される。おぞましいドキュメンタリーだ。

 どこが“猛烈な恐怖”“おぞましい”のかは、見ていただくのが最高の方法だ。ざっと前提を紹介すると
●ニセの“12歳女子の友達募集アカウント”を作成
●そこに登録されている少女は3人、すべて12歳という設定(実際は、いずれも18歳の女優)
●“彼女たちの自宅部屋”は、実はスタジオ内のセット
●チャットは10日間限定(客には知らされていないが)
●自分からは連絡しない
●こちらから誘惑や挑発もしない
●性的指示は断る
 などなど。あといくつかあるが、大人の判断で秘す。

 男たちは執拗にプライベートを尋ね、なんとかリアルで会おうとし、部位画像を送り付け、ひとりでエクスタシーに達する者もいる。逆上し恐喝しようとする者まで現れる始末だ。精神科医、性科学者、弁護士などのケアも借りながらの撮影だったとはいえ、女優たちは傍目にもわかるほど参っていく。その様子がありありと捉えられているのも、この映画のすごみだろう。後半のたたみかけるような展開には、その収音の仕方(マイクをどこに隠すかということ)も含め、「そうきたか」と驚くしかなかった。

 あと、劇中で何度も何度も流れる電話の着信音がすごくポップでキャッチーだ。映画を見終える頃には、そのメロディが耳から離れなくなるはずだ。

映画『SNS-少女たちの10日間-』

4月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷 ほか全国順次公開
出演:テレザ・チェジュカー、アネジュカ・ピタルトヴァ―、サビナ・ドロウハー
監督:バーラ・ハルボヴァー、ヴィート・クルサーク 原案:ヴィート・クルサーク 字幕翻訳:小山美穂 字幕監修:牧野ズザナ 配給:ハーク 配給協力:EACH TIME
2020年/チェコ/チェコ語/5.1ch/ビスタサイズ/104分/R-15
(C)2020 Hypermarket Film, Czech Television, Peter Kerekes, Radio and Television of Slovakia,Helium Film All Rights Reserved.

http://www.hark3.com/sns-10days/