『死霊のはらわた リターンズ』第2、3話の監督が描く、アドヴェンチャー+エンターテインメント+ホラー『クルーガー 絶滅危惧種』

 ものすごい濃度、ものすごいテンポで物語が進んでいく。これがテレビもパソコンもない時代の制作なら“ひと息つく”場面にたどり着くだけで、映画一本分の尺を使い切ってしまったかもしれない。が、この作品では、その“ひと息”がプレリュードなのだ。

 そして観終わったとき、「人間がこの地球に生きる意義とは?」「人間がいること自体が地球の破壊につながっているのではないか」「倫理とはいったい何か?」「動物、自然、人間にとって最も幸せな共存とは何か?」といった問題が自分につきつけられた。アドヴェンチャー、エンターテイメント、ホラー、いろんな要素が感じられるけれど、その中枢にあるのは骨太な「なぜ?」なのだと個人的には感じている。

 まあまあ裕福そうに見えるアメリカ人一家が、レジャーのためアフリカ・ケニアを訪れる。だが世帯主のジャックはひそかに会社から休職を言い渡されていた。高額なレジャーだから、結果的に一部のツアーに払うお金が足りなくなってしまう。ええいままよとばかりに、ジャックは家族を乗せて、係員の注意を振り切ってサバンナに突入する。そこからが、極限の始まりだ。男一人の思いつきが、とんでもない波紋を広げていく。

 監督は、『死霊のはらわた リターンズ』第2、3話を担当した英国出身のM・J・バセット。ジャック役にはフィリップ・ウィンチェスターが扮し、ほか、『スタンド・バイ・ミー』にも登場したジェリー・オコンネルら脇を固めている。4月8日より東京・新宿バルト9ほかにて全国公開。

映画『クルーガー 絶滅危惧種』

4月8日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー

出演:フィリップ・ウィンチェスター、レベッカ・ローミン、ジェリー・オコンネル、イザベル・バセット

監督:M・J・バセット 脚本:M・J・バセット、イザベル・バセット 音楽:スコット・シールズ 撮影:ブレンダン・バーンズ 編集:アンドリュー・マクリッチ
2021年|ケニア、アメリカ|カラー|シネスコ|5.1ch|102分|英語ほか
日本語字幕:北村ひろ子|原題:ENDANGERED SPECIES|レイティング:G
配給:クロックワークス
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