本場ブロードウェイ直送の好評ミュージカル・シリーズ、今回は約110年前の児童文学。『ザ・ウィローズ』

 本場ブロードウェイの舞台を、日本の映画館にいながらにして楽しめる「松竹ブロードウェイシネマ」、その最新作『ザ・ウィローズ』が7月8日から東京・東劇、大阪・なんばパークスシネマ、名古屋ミッドランドスクエア シネマほかで全国順次限定公開される。

 原作はケネス・グレーアムが1908年に発表した児童文学『ザ・ウインド・イン・ザ・ウィローズ』。よって英国ウェストサイドの名門劇場で見ているような感じか。音楽はジョージ・スタイルズ(作曲)、アンソニー・ドリュー(作詞)という、『メリー・ポピンズ』や『ホンク!』などでも知られるコンビが、20数曲を提供している。脚本はジュリアン・フェローズ、映像監督は2012年オリンピック開会式の映像監督も担当したティム・ヴァン・ソメレンだ。

 モチーフとなるのは、動物の世界だ。ミスター・トード(ヒキガエル)、モール(モグラ)、ラッティー(ネズミ)、バジャー(アナグマ)、ミセス・オッター(カワウソ)たちが暮らしているなか、ミスター・トードの屋敷が、チーフ・ウィーズル(イタチ)たちに襲われる。動物たちのあいだにはどんな友情が育まれているのか。どこかの生き物のように、やっぱり差別や優越感の心を持って行動したり、争いで利益を得る者はいるのか。キャリアを積んだ役者たちが、目いっぱい動物のコスチュームをし、動きを近づけながら、物語を陰影豊かに表現していく。

 とくにミスター・トードを演じる英国のコメディアン、ルーファス・ハウンドは八面六臂の活躍ぶり。まさに「腹から出ている」声、軽やかな身のこなしに「これぞプロ」との思いを新たにする。かなり傲慢なところもあるミスター・トードなのに、最終的にはなんだか憎めない、愛すべきキャラクターとして着地するのはルーファスのセンスがものを言ってもいるはずだ。

舞台『ザ・ウィローズ』

2022年7月8日(金)から東劇(東京)、なんばパークスシネマ(大阪)、ミッドランドスクエア シネマ(名古屋)ほか全国順次限定公開

配給:松竹
(C)Marc Brenner
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