“ミソジニー”とは、女性に対する嫌悪や蔑視のこと。ここに定冠詞“ザ”がつくと、どうなるのか。まさか権力を持つ老害が時代錯誤の発言を無神経に繰り返していくような内容ではないだろうかとは思っていたものの、ここまで予想が次々とくつがえされていくとは。中田秀夫監督と組んだ『女優霊』や『リング』で頭角を現し、『ソドムの市』や『狂気の海』などで名声を高めたホラーの名匠・高橋洋(脚本・監督を兼ねる)の術中にまんまとハマった感じだ。

主な登場人物は、劇作家のナオミ(中原翔子)、女優ミズキ(河野知美)、ミズキのマネージャーである大牟田(横井翔二郎)。ミズキはかつてナオミの夫を奪ったことがある。だがナオミとミズキの交流は続いていて、ふたりはとある山荘に滞在、母親殺しの事件を題材にした芝居の稽古に取り組む。ミズキは母親を殺した娘を演じるのだが、第六感が働いたのか、この事件が起きた現場がまさにこの山荘ではないかとの思いに至る。ここからの展開がまた、なんともダークかつスピード感に富む。

ナオミとミズキの持つ高いプライドと、一人の男性をめぐる「女の意地」、さらにギラリと光る大牟田の存在感に注目したい。9月9日から、シネマカリテほか全国順次ロードショー。
映画『ザ・ミソジニー』
9月9日(金)シネマカリテほか全国順次ロードショー
脚本・監督:高橋洋
製作・配給:『ザ・ミソジニー』フィルムパートナーズ、屋号 河野知美 映画製作団体、OSD syndicate、高橋洋
配給協力・宣伝:プレイタイム
(c)2022『ザ・ミソジニー』フィルムパートナーズ